チョコレート男子




・雪燐
・18禁ですので18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください
・ハッピーバレンタイン!




別に、貰ってくるなとは言わねぇよ?だってそれら全部に勇気を出した大事な気持ちが詰まってんだからさ。無駄にしたら俺が怒る。

…でもさ、


「貰いすぎじゃね…?」

「……ごめん兄さん。直接来てくれた人の分は断ったんだけど…」


下駄箱や机の中や鞄の中やロッカーの中…あ、あと体操着を入れてる袋の中までチョコが詰められてて…。
雪男は鞄と持ち手が千切れそうになっている二つの紙袋を置くとすぐに制服のままベッドへと倒れ込んだ。その顔はどこか痩せこけて見える。…そんなに凄かったのか。俺の収穫なんてバレンタインを知らなかったしえみが気持ちだけでもとくれたレモンの飴だけだぞ?しかもスッゲー酸っぱいやつ。バレンタインなのに全ッ然甘くねぇよ…!!嬉しかったけど!!

雪男の許可を得ていくつか手に取って見てみると、どれも綺麗にラッピングされたものばかりで。中には俺だって知ってるぐらい有名な店のものまであった。
まぁでも、貰っちまったもんはしょうがねーよ。と、言いつつ雪男のベッドに腰掛ける。寝返りを打った雪男がそのままぎゅっと腰に抱き着いてきたので髪の毛を梳いてやれば、珍しく甘えた声で「兄さん」と呟いた。


「兄さんからのチョコがほしい…」

「あー…言うと思った」


用意していないということはない。ちゃんと前日にこっそり作って冷蔵庫の奥で冷やしてある。雪男でも食べやすいようにと甘さ控えめを意識してミルクチョコとビターチョコを混ぜて作った俺特製のスペシャルハート型ガトーショコラ。この時期にハートの型を買うのがどれだけ恥ずかしかったことか…!分かってんのかこいつは!
その時の恥ずかしさを思い出して梳いていた髪をつかんで引っ張ってやる。雪男は顔をしかめて「何すんだよ」と手を払いのけた。


「お前これはどうすんの?」


ピンク色の箱にピンク色のリボン、まさしく女の子が作りましたオーラ全開のそれ(間違いなく本命だろう)をぐりぐりと雪男の頬に押し付ける。雪男は困った顔を見せた後逃げるように燐の腹に顔を埋めた。


「……兄さんは食べてほしい?」

「え?」

「僕はあまり気乗りしないんだけど…でも、兄さんが食べろって言うなら食べるよ」


流石にこの量を一気に全部は無理だけどね。
そりゃ、折角人から貰ったものを捨てるなんてことは絶対にしてはいけないし雪男もするつもりはないと思う。たしかに先に意地の悪いことを言ったのは俺の方だけど、そんな人を試すようなこと言わなくたっていいじゃないか。
ムッとした燐は包みを開きチョコレートを口に含んだ。そのまま雪男に口づけて舌を絡める。最初は驚いていた雪男だったがすぐに順応して積極的に燐の舌へ自分の舌を絡めていった。


「ん……メガネ、じゃま…」


一旦離れて雪男のメガネを外し再び深く口づけを交わす。二人の口腔内の熱によってどろどろに溶かされたチョコが互いの間を行き来する。その匂いが甘すぎていつもより早く音を上げた燐を雪男はベッドに押し倒した。


「なに可愛いことしてくれてるの」


ちょっと余裕ないかも。と囁く雪男に燐の体はずくんと痺れた。


「誰も傷つけない良い方法だと思ったんだけど?」


挑発的に笑って見せれば雪男もつられて口角を上げる。もう一粒、もう一粒とキスを交わす度にチョコを食べていれば次第に頭がぼんやりとしてきて。雪男も同じく目をとろんとさせて燐を見つめている。


(…雪男可愛いなぁ……)


頬を赤らめて潤んだ深緑色の瞳で「兄さん」なんて呼ばれたらたまったもんじゃない。しかもメガネを外したことによって普段より何倍も幼顔に見える。そんな雪男にこれから抱かれるのかと思うと背筋がぞくぞくして。あぁ俺はいよいよ変態になってしまったのかと一人思いに耽る燐の胸の突起を雪男はぐりぐりとつまみ擦りあげた。


「ひゃっ!?」

「何考えてるの?」

「…ぁっ、お、まえの、こと…」

「ならいいけど」


いつの間にか制服の前を開かれ、ベルトも抜かれてしまっている。見えてねぇくせにこういうことは器用だな、と悪態を吐いてやればそりゃどうもと雪男は遠慮なしに胸への愛撫を再開した。
片方はべろりと執拗に舐められたり吸われたり時には甘噛みされたり。もう片方は空いている手で擦りあげられたり引っ張られたりとまんべんなく攻め立てられた燐の胸の飾りは、呼吸をする度に上下しながらぷっくりと赤く染まりてらてらと卑猥に光を帯びて立っていた。浮かされた熱がもどかしくてたまらなくて。
こんなに気持ちのいいものだっけとほんの少し困惑しながら未だ燐の胸を吸い続けている雪男をぼぉっと眺めた。その雪男が身じろいだ拍子に燐のズボンが擦れ、それが燐自身への刺激となって襲い掛かる。


「あッ、ゃ、ぁあああッ!!」

「…ッ!?」


思わず目の前にあった雪男の頭を抱きしめて燐は射精後の余韻に浸る。快感に打ち震える燐のズボンに雪男が手を突っ込むと下着はしとどに濡れていて。わざと音を立てるようにぐちゅぐちゅと触ってやればその気持ち悪さに燐はやだやだと首を振った。


「そんなに胸気持ち良かった?」

「ぅ、ぁあ、やめ…ッ、さわ、ん、なぁ…!」

「兄さんはいつからこんな淫乱になったの?」

「ぁあッ、ちが、うぅ…あアッ!」

「ふふ…でもまた固くなってきた」

「ゆき、ぃ…!ぁ、ああ…ッ、ちょ、くせつ、さわ、ってぇ…!」


生理的な涙を流して腰を揺らす燐に雪男の喉がゴクリと鳴った。
なんだろう…もっと燐の痴態を見たい、辱めたい。そんな思いで頭の中がいっぱいになる。


「どこを触ってほしいのか言ってくれないと分からないよ」

「…ッ、い、いえな……」

「じゃあ触ってあげられないな」


雪男の手が呆気なくズボンから出て行き燐は小さく声を漏らす。メガネをかけて離れて行こうとする雪男の袖を慌てて掴んで引きとめた。
こんな恥ずかしいことを言うのは気が引けるがこのまま放置されるのもごめんだ。後々ネタにされるだろうがそんなこと今はどうだっていい。熱に浮かされた勢いで言ってしまえばいいだけだ。


「ゆき、ぃ…」


じっと燐を見下ろす雪男の目の前でズボンと下着を脱ぎ、後ろに手を付いてわずかに足を開く。脱いで初めて自身が精液と先走りでだらしなく濡れていることに気付いて顔を赤らめた。あまりの恥ずかしさに一度足を閉じるが、雪男も顔を赤らめて燐の痴態に釘付けになっていて。そのことが嬉しくて恐る恐るゆっくりと足を開く。一度閉じてしまったため太腿にまで先走りと精液が付着していて、それが細い糸を引いている。


「お、おれ、の…ッ、おれの、ちん、こ、…さわってぇ…!」

「…ッ!」


言い切ってしまえばなんてことなくて。浅く息を繰り返してもっとよく雪男に見えるように足を開いた。燐の性器の先端はふるふると震え、伝い落ちた先走りと精液によって濡らされた燐の後孔はひくひくと伸縮を繰り返している。
雪男はクスリと笑って燐の額にキスを落とし耳元で「よくできました」と囁いた。


「ぅぁ、あああ…ッ!そ、な…いきな、りぃ…!」


雪男の人差し指が後孔から裏筋へねっとりとなぞり上げてくる。やっと雪男が触ってくれたことで与えられた快感で倒れてしまわないように、燐は後ろ手で自分の体重を支えるのが精いっぱいで。ただただ雪男がもどかしく触るのを眺めることしかできなかった。


「ちゃ、…ちゃんと、さわってくんなきゃ、やらぁ…ッ」

「ふふ…ごめんね。兄さんが自分から腰を振って僕の手に擦りつけてくるのが楽しくって」

「ッ!?んな、こと…、してな、ッ、ああアッ!」

「こんなにいやらしく腰を振ってるのに自分では分からないの?」

「ヒッ、ぅああ、あ、わ、かんな…いぃ!」

「兄さんのエッチ」

「ゃッ、ま、たッ、あぁあああアッ!」


目を細めて笑う雪男にゾクゾクして、自分でも訳が分からないうちに燐は二度目の射精を迎えた。
はぁはぁと荒く息を繰り返しながらどうしてほとんど触られてもいないのにイってしまったのかと燐が混乱している中、雪男は近くに置いたままにしてあったチョコレートの箱をじっと見ていた。一粒手に取って口に含み、そのまま一緒に燐のモノを咥えこんだ。イッたばかりで敏感になっている燐の身体はビクビクと跳ねて雪男の頭を押しのけるかのようにぐしゃりを掴む。


「ま、まって、も、やら、ぁああッ」


舌を使ってチョコを燐のモノに塗りつけるように口淫されて初めての刺激に燐の頭の中が真っ白になる。チョコを塗りつけられたところからじんじんと熱を孕んでいるような、そんな錯覚を覚えた燐の目からはぼろぼろと涙が零れた。チョコが溶けきるまでしつこく愛撫された燐はまた呆気なく達してしまい、もうわけがわからないイきたくないと雪男に縋り付くものの、ゆるゆると燐自身は勃ち上がり始めていて。


「ひっぐ…も、やだぁ…ッ」

「でも僕はまだ一度も気持ち良くなってないよ」

「ふぁあああっ、な、なに、それぇ…」

「ん、ちゅっ…兄さんのここ、凄く熱い…」

「ひっ、ぅッ…し、した、いれん、なよぉ…」

「しょうがないなぁ…」


雪男は燐の足の間から顔を上げてがさごそと先程のチョコレートを口に入れた。流石の燐も同じ手を何度も喰らえば雪男が何をするつもりなのかわかる。後ずさろうとするが、あっさりと雪男に足を掴まれて再び後孔に舌を挿れられた。
雪男の熱い舌が燐の後孔を突いたり舐めたりと、していくうちに溶けたチョコを後孔に押し込まれる。つぷり、と小さく音を立てて異物が侵入してくる気持ちの悪い感触に燐は震えた。チョコでほんの僅かだが滑りの良くなった後孔を舌で押し広げるように弄られ、ある程度解れたかと思えば指を挿れられる。2本3本と増やされて、ばらばらに動かせるまで馴染んだところで雪男は指をずるりと引き抜いた。


「挿れてもいい?」

「わざわざ、きく、な…」


本当は今すぐにでも挿れてほしくてたまらなくて。挿れて揺さぶられて奥を抉られるように突かれてイきたくてしょうがなくて。けれどそんなことがバレたらまた雪男に「淫乱」とか「エッチ」なんて言われてしまう。
言われるがまま四つん這いになって雪男に尻を高く突きだす体勢をとる。雪男のモノがひたりと後孔に宛がわれて燐は期待に胸を高鳴らせた。が、そんな燐の心中を察したのか、なかなか挿れようとせず自身の先走りを燐の後孔に塗りつけるかのようにぬちぬちと先端を擦りつけるだけで。焦らされた燐の後孔は物欲しそうに伸縮し、腹につくほど反り返った自身からは先走りがぽたぽたと落ちていた。


「…いれねぇ、の…?」

「もう一回兄さんの口からお願いが聞きたいなぁって思って」

「…ッ、も、もう言わねぇよ!」

「でもつらいのは兄さんの方じゃない?」


僕は兄さんのここにこうやって擦りつけてるだけでもいいんだけど。
なんて、思ってもないことを口にしながら雪男は燐の様子を窺う。燐は悔しそうに顔を真っ赤にしながらも内心雪男が挿れてくれなかったらどうしようかと焦りを見せていた。
悩みに悩んだ結果、燐はぎゅっと目を瞑ってやけくそとばかりに口を開いた。


「ゆ、ゆきの…」

「うん、僕の?」

「ゆきの、ち、ちんこ、を、おれのここに、いれて、くださ…」

「挿れるだけでいいの?」

「〜〜ッ、いれて、ゆきので、いっぱい、ナカ、ぐちゃぐちゃって、こすってぇ…!」

「了解。兄さんの大好きな前立腺いっぱい擦ってあげるね」

「ぃっ、ああぁあ…ッ!は、はいって、くるぅ…ッ!」


ぶるり、と震えながらも雪男のモノをずぶずぶ飲み込んでいく燐の後ろ姿に見て、雪男は自分の中の支配欲が満たされるのを感じた。燐の腰を掴んで固定し、動きを徐々に早いものへと変えていく。パンパンと肉と肉がぶつかる音が大胆なものへとなっていき、燐の膝はガクガクと笑い始めた。


「やぁっ、あっ、あっ、あぁあッ、い、イくッ、イくからぁ…ッ!」

「もうちょっと、待って…ッ」

「むり、むりッ、ぃッ、あぁ…ッ、あああッ!!」


ぱたたっ、と燐の放った精液がじわじわとシーツに染み込み汚していく。崩れ落ちそうになった燐をなんとか抱きとめたものの、燐はぐったりとしてしまっていて。燐は4回も達しているがその間雪男はまだ一度も欲望を吐き出していない。
兄さん、と呼びかけてはみるが燐の目はうつろになっていて、雪男を認識しているかどうか少々怪しい反応を見せた。


「僕まだ一度もイってないんだけど」


ぬぽっと卑猥な音を立てて雪男のモノが抜かれ、燐は身震いをした。


「ご、ごめん、なさ…」

「待ってって言ったのに……お仕置きだね」

「ぅえっ、なに…」


今度は雪男がベッドに寝転び、燐を雪男の腹の上に座らせた。胸に手をつくように言うと素直に従って。


「じゃあ兄さん自分で挿れて」

「え」

「兄さんならできるでしょ?」


騎乗位なんて知識はあれど実際にはやったことのない燐にとっては戸惑うのも当然で。けれどたしかに自分だけこんなに気持ち良くなってしまっては雪男に申し訳ないという気持ちもあって。
もう顔から火が出るんじゃないか(ていうかもう既に出てるんじゃないか)と思うほどの羞恥に耐えながらも、燐はおずおずと腰を上げて自ら後孔に雪男のいきり勃ったものを宛がった。何度も達して震える膝に力を入れて慎重に慎重に腰を落としていく。雪男がいつも挿れる時とは違ってなかなか上手く挿れることができないが、それでも少しずつ確実に燐のナカに雪男のモノが埋まっていった。


(あと、ちょっと…)


一番太い幹の部分の挿入を過ぎれば後は存外楽に挿れることができる。燐はふぅふぅと息を吐きながら自分のナカに雪男の大きなモノがずぶずぶと入っていく様子を見守った。
雪男からすれば好きな相手が一生懸命自分を受け入れてくれようとしている光景が眼前に広がっているわけであって。ここまで耐えただけでも十分自分を褒めてやりたいぐらいなのに、ここで誤って吐精してしまったらお仕置きとはいえど折角の燐のサービスが台無しだ。額に汗を浮かべながらすぐにでも達してしまいそうなのをぐっと耐える。
あと少しで繋がる、というところで燐がぐらりとバランスを崩した。


「ッ!?ひゃッ、ぁあぁあああ…ッ!!」

「…ッ、にい、さ…!?」


かくん、と膝が崩れたことにより一気に雪男のモノが燐のナカを穿った。正常位やバックとは違って自分の体重がある分いつもよりも深いところをぐりぐりと抉られる。突然の大きすぎる刺激に燐の頭には小さな青い炎が二つ灯っていた。


「ッ…、ちょっと兄さん、またイッたの…?」

「い、って、ねぇよ…!」


燐の言う通りたしかに燐自身から精液は出ていないものの、痙攣する身体は達したことを表していて。それは燐本人が一番分かっているのだが、まさかと頭をよぎった言葉を雪男に悟られたくなくて必死に平静を保とうとなけなしの理性で強がってみる。けれど、そんなこと雪男から見れば一目瞭然で。


「もしかして空イキした?」

「ッ!?や、してねぇし…」

「ふぅん…?」


唐突に雪男の指が燐のモノをなぞり、こすこすと先端を擦る。達した後の身体からすればそれだけでも相当な刺激になって。燐の身体が面白いほどびくりと跳ねて硬くなる。きゅっと締まった後孔に雪男は顔を歪めたが、それでもなんとか耐えきった自分を褒めた。


「ほら、まだ僕イってないよ?動いて、兄さん」

「くっ、そぉ…」

「ほら、最初だけ手伝ってあげるから後は一人で頑張って」


燐の腰を持ち上げてパッと手を離してやる。驚いてまだ膝に力を入れることのできなかった燐はそのまま重力に従ってぐちゅん、と雪男のモノを咥えこんだ。燐は背中を弓なりに反らして快感に耐える。
涙と飲み込みきれなくなった唾液でぐちゃぐちゃになりながらも健気に腰を動かす燐に雪男のモノがずくんと熱を孕む。


「ひゃぁあッ!で、でかくすんな、よぉッ、」

「ご、めん…一回出させて…限界、だ」

「うん…いいぜ、こい、よ…っ」


自分が動いて雪男が気持ち良くなってくれている。そう思うだけで燐のモノはゆるゆると頭をもたげ始めた。腰の動きも燐が自分で自分のイイところがわかったのか夢中で振り続ける。抜けば吸い付くように、挿れれば離さないと言わんばかりに絡みつく燐の内壁にずっと我慢していた雪男も爆ぜて熱い精液を注ぎ込んだ。


「あぁああッ、ゆ、きの、あつい…、は、ぁあッ!」

「…ッ、兄さん!」

「…う、わぁっ!?」


中出しされて恍惚の表情で荒く短い息を繰り返す燐をぐいっと押し倒す。繋がったまま押し倒された衝撃でナカを擦られ、燐は小さく喘いだ。
正常位に体勢を変えられて今更ながら恥ずかしくなった燐は顔を腕で覆って隠す。


「兄さん、キスさせて」

「う…や、やだっ」

「どうして?」

「これ以上やったら、お、おかしくなる…!」

「キスするだけだってば」

「無理無理!…は、恥ずかしいんだよ…っ」


頑なに腕をどけようとしない燐に痺れを切らした雪男は燐の両脚を高く持ち上げ、そのまま膝を燐の肩につくぐらいまで畳んだ。燐は身体が柔らかい方なので痛くはないとはいえど、そんなに体を曲げられたら繋がっているところが丸見えになってしまうわけで。それ以前にこの体勢はいくらなんでも間抜けすぎる。雪男しか見ていないと言われてもプライドが許さない。けれど疲れ切ってだるくなった身体では抵抗らしい抵抗が出来なくて。一瞬びっくりして腕をどけたことを燐は後悔した。


「な゛ッ!?や、やめろ…ッ!」

「兄さんよく見てて。兄さんが今誰に抱かれているのか」

「ぅあ、あっ、あっ、あァ…ッ!も、やだぁ…ッ」

「兄さんさっき空イキしたから出さないと気持ち悪いでしょ?」

「ひっ…!も、でな、って、ひぅっ、ぁ、あぁっ」


目の前にはたしかに自分のナカを雪男の大きなものが出入りしている光景が広がっている。ずりゅん、ぐちゅん、と耳を覆いたくなるような音を立てながら、時には雪男の精液が自身の後孔から伝って落ちてくる。恥ずかしすぎて消えてしまいたいぐらいなのに、最早自分の痴態も興奮材料となってしまっていて逸らしたくても逸らせない。
雪男のピストンが激しくなって燐の弱いところをピンポイントに突いてくる。もう何も考えたくなくなってきて。頭の中が真っ白になったのを感じた直後、燐は意識を手放した。





「…あ、気がついた?」

「ん……ゆきお…?」


目が覚めると目の前で雪男が優しく笑っていた。部屋の中はすっかり暗くなっていて、あぁ、結局寮に帰ってきてからずっと雪男とヤってたのかと改めて実感する。身体はすっきりとしていて服装もきちんと整えられているので雪男が後始末をしてくれたのかと問う。そりゃ、雪男以外はありえないのだけれど。
雪男は返事の代わりに燐を引きよせてキスを落とした。触れるだけのキスがくすぐったくて燐が身じろぐと、雪男は燐の頬を撫でて嬉しそうに笑った。


「兄さん、ケーキありがとう」

「ケーキ……ッ、お、お前!見つけたのか…!?」

「うん、冷蔵庫の奥で。……って、あれは僕へのバレンタインチョコだよね?…まさかとは思うけど他の人宛なんてこと…」

「ねぇよ!!…あれは正真正銘お前へのバレンタインチョコだからなっ」


ありがたく受け取れ!と、照れ隠しに顔を雪男の胸板に擦りつける燐の髪を撫でた雪男は心底幸せそうに「ありがとう」と言って、燐のつむじにキスを落とした。


(…ケーキ以上のものを貰いすぎた気がするけどね)


雪男は目を閉じて先程開封されたチョコの空き箱に書かれていた言葉を思い出した。


『このチョコレートは”媚薬入り”です。食べ過ぎないように注意してくださいね。メッフィーより』


(……これはお返し頑張らないとな…)


それと、理事長へのお礼も。
甘えてくる燐に沢山のキスを送りながら雪男は一か月先の自分へバトンを託した。




ハッピーバレンタイン!





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