青い春、はじめました。





・420の日記念のお話
・来神設定です







「ねぇねぇシズちゃん知ってる?」

「何をだ」

「一度出した精子の数が元の数に戻るのに72時間かかるんだって」



ぶふっ!


さらりととんでもねぇ言葉が耳を通り抜けていった。



「ちょっと、汚いなぁ。俺の部屋じゃないとはいえジュースを噴き出すのはやめてよね」

「な、なななな何っつーこと言い出すんだ手前はっ!!」


寝転びながらパラパラと雑誌を読んでいた臨也は手を止めてやれやれと首を振った。いやいやちょっと待て。何で手前がそんな顔してんだよ。んな顔をしたいのはむしろ俺の方だ。そりゃ、まぁ、たしかに、男同士ではとりわけ問題にならない話題なのかもしれないが…。だからってそれを付き合って間もない恋人に言うか!?空気が変な感じにふわふわしてきちまったじゃねぇか。馬鹿か?こいつは馬鹿なのか?仮に俺がこの発言の意味を深読みしていて、単なる保健体育の豆知識的な話だったとしてもおかしい。TPO、だっけか。俺はこいつにそれをもう一度考えてもらいたい。
俺が呆気にとられているうちに、臨也の興味は再び雑誌へと向けられていた。


「……おい」

「んー?」

「……さっきの話、あれは何だったんだ」

「…………はぁ」


溜め息を吐いた臨也は雑誌を閉じて台所へと姿を消した。立ち上がる時に舌打ちまで聞こえたが、まったく意味が分からん。
しばらくしてコンビニの袋を提げて臨也が戻ってきた。


「今日は4月20日です」

「……手前、俺が日付も分からないような馬鹿だと言いてぇのか?」

「そうじゃなくて!…シズちゃんさ、俺達が付き合い始めて、今日で1ヶ月なの忘れてたでしょ」

「…………まじでか」


こくり、と頷く臨也の耳はほんのりと赤く染まっていて。こいつってそういう記念日とか気にするんだなって初めて知って。こっちまで照れくさくなってどうしようかと考えていると、手に持っていた袋を乱暴気味に押し付けられた。


「でさ、何かプレゼントを渡そうと思ったんだけど…とりあえず、プリン。これあげるから、その……あれはもうちょっと待ってて」

「…あれって何だ?」

「〜〜っ、もうっ!察しろよこの単細胞!」


直後正面から体当たりをしてきた臨也にマウントポジションを取られる。それから臨也の手で目を覆われて視界を奪われた。


「だからっ、セ…セック、スはもうちょっと待ってって言ってんの!お、俺だって覚悟決めたりとか心の準備とか…とにかく色々あるんだから!だから…もうちょっとだけ、待ってて」

「………」

「俺、なるべく早く覚悟決めるから!……シズちゃんに飽きられないように、頑張るから」


多分今の臨也は真っ赤な顔をしているのだろう。本人は気付いていないだろうが、手がほんの少し震えている。…飽きたりなんて、するわけがないのに。何を急にしおらしくなってやがんだ。いつものこいつだったらもっと強気で、それでいて辛辣で、俺のことなんて二の次ぐらいに考えてんじゃねぇかってぐらい自分中心で。


臨也は、こんなにも人間らしい人間だったっけか。


目を覆われていた手をやんわりと掴むと、臨也は大げさなぐらいびくりと跳ねた。ゆっくり上体を起こしてそのまま抱きしめる。力の限り抱きしめられないことが、こんなにももどかしいなんて。


「言っとくけどな、俺は手前とそういうことが目的で付き合ってるわけじゃねぇ」

「……………」

「手前が好きだから付き合ってんだ。だから今こうやって手前を抱きしめられるだけで十分なんだよ」

「っ!」

「プリンさんきゅな」

「………うん」


行き場を失っていた臨也の腕がゆるゆると背中にまわされた。そのことが嬉しくて、俺は少しだけ強く臨也を抱きしめなおした。



大体、俺達キスもまだじゃねぇか。とは、心の中だけでツッコんでおいた。






********



なんとかギリギリセーフです…!
4月20日が二人の記念日だったら可愛いなぁって
純情臨也大好物です^^

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