『何で島君って暁月と付き合ってんだろうね。暁月って地味じゃない?』
亮介君のクラスに向かう途中の階段の踊り場で聞いてしまった。
そんなこと、言われなくったってわかってるよ・・・。
亮介君は合気道もサッカーもとても上手で、性格だって明るいみんなの人気者で、いつもキラキラ輝いてて………
それに比べて私なんてこれといった特技もないし、顔だっていいとこ中の中。モデルさんみたいにキラキラ輝いた周りの女の子達とは違う。
だけど、そんな私でも亮介君が「好きだ」って言ってくれた。
すごく、嬉しかった。夢みたいだと思った。
ずっとずっと好きだった。ずっとずっと憧れてて私の手なんて届かない人だって思ってたの。
だから、少しでも亮介君に合う女の子になれるようメイクの勉強だってしたし、服装にもしっかりと気を配るようになった。だけど…
「やっぱり亮介君には合ってないのかな…私。」
そう思うと目頭が熱を持ち、涙がこぼれ落ちるのがわかった。
やばい、メイクが落ちちゃう…。
亮介君のところに行くのは後にしよう。
そう思って今まで歩いてきた進路と逆方向に向かうために足を向けた。