あざー | ナノ




私の幼なじみは超が付く程なサッカー馬鹿だ。顔までもがいかにもサッカーしてますって顔をしている。
幼稚園の年中組(そんな昔の記憶は曖昧であるが)から、現在中学三年生に至るまでサッカー一筋な幼なじみこと山口圭介は、小学三年生より地元のトップチームのジュビロ磐田のユースチームに所属している。
当たり前にサッカー漬けの毎日だ。

いつだったか圭介にそんなに毎日毎日サッカーやってて楽しいの、とつっけんどんに尋ねたことがあった。(その頃の私はきっと良い遊び相手がいなくなって拗ねていたのだろう)
そうしたら、彼は腹の立つくらいの良い笑顔でサッカーが好きだから、と言ってのけたのだった。
あいつは本当にただのサッカー馬鹿だった。

それはさておき何故、今幼なじみの紹介をしているのか。
話は昨夜に遡る。

コンコンッと自室の窓を叩く音がする。隣り合わせに建つ名字家と山口家では当たり前の光景であり、私の自室を叩くのなんて圭介しかいない訳で。(いや、たまに圭介の兄姉の響介さんと未來さんのときもあるけれど)
ガラッと窓を開けると久々に見る幼なじみの姿があった。

「よー!久しぶり!」
「え、あぁ、うん」
「あのさー今週の日曜日、安久路グラで練習試合があるんだ。暇だったら、観に来いよ!じゃーなー」

そう用件だけを言って、さっさと圭介は自室に戻ってしまった。圭介の言葉がリフレインする。今まで試合に誘ってくれたことなんか一度もなかった。
いきなりどうしたんだろう。疑念しかない。



そして日曜日。圭介に誘われた日から早くも日にちが経ってしまった。

未だに行くかどうか決めかねていた私。だって暑いし、うん。


その時、私の携帯がお気に入りの曲を鳴らした。電話だ。



「はい、」
「やほ、名前ちゃん」
「未來さん!どうしたんですかー」

電話の相手はあいつの姉、未來さんからだった。

「今日行く?試合」

え、

用件はあいつの行くか行くまいか決めかねていることで。

「ま、まだ考え中です…」

そう返すと返事が返ってくる前に未來さんが考え中だってー、と言うのが聞こえ、奥からあいつの兄、響介さんの声が聞こえた。どうやら兄妹揃ってるらしい。

「来れば」

暫くするとそう低い声が聞こえ、響介さんに替わったのだと分かる。

「何で、ですか」
「最後にあいつの試合観たのいつだっけ」

………小学校低学年の頃だっただろうか。最後に観たのは。

「久しぶりに観にくれば」
「あいつの頑張り見てやれよ」

電話の奥でいつも笑わない響介さんが微かにくすっと笑ったのが聞こえた。(響介さんは圭介とは違って笑わないと言ったら、本当に笑わない。それ故に驚いた。)

「それにあいつ、お前に格好良いとこ見せたくて頑張ってんだから」

「え、」

今、何と?
聞き間違いじゃない?
そう思ったら、いても立ってもいられなくなった。

「響介さん!今どこ!行く!」

待っててよ!今行くから!

にとろへ相互記念。遅くなってすみませんんん
圭介が面白いくらいに喋らない。そして響介さんがでばりすぎた。圭介夢どころか、これじゃまるで響介夢じゃないか。響介さんと未來さんは、にとろと共に作り上げた妄想でできた山口家長男と長女です。
返品書き直しは絶賛受付中!


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