あざー | ナノ




私には好きな方がいます。その方はロケット団という組織の幹部で、とても格好良いのです。
周りの幹部の皆様や団員の方々にその方のことをお聞きすると大半の方は冷酷だとおっしゃいますが、私はそうは思わないのです。実際私も良くして頂いたし、心の内に優しさを秘めているのだろうと思います。


さて話は変わりまして、私の想い人 ランスさんは今日もせわしなくあっちへ行ったり、こっちへ来たりしています。幹部はとても忙しいんだそうです。
それなのにランスさんは毎日私に会いに来てくれます。…私?私はロケット団の居候のようなものです。強いて言うならば、雑用係というところでしょうか。
昔、お父さんやお母さんから引き離されて、ここに連れてこられたときは毎日与えられた部屋で泣いていました。でも今はそんなことはありません。たまにお父さんやお母さんが恋しくなりますが、そんな気持ちとは裏腹にここでの生活も悪くはないのです。団員の皆さんも優しくしてくれますし(最も最初は敵意剥き出しでしたよ、こんな子供に何ができる訳でもないのに)、幹部の皆さんは家族のように接してくれて。それより何よりランスさんと一緒にいられるのが嬉しいのです。


そんなことを言っている間に扉の向こうの廊下から、カツカツと足音が聞こえてきました。この足音は、

「ランスさん」

扉を開けたのは、黄緑の髪が特徴のランスさんです。ランスさんは、ちょくちょく私にお仕事を持ってきます。(書類整理とかお茶のご用意とか)

「今日は何をすれば宜しいのでしょう?」

いつものように私は聞きます。今日は書類の整理かな、と思えば、ランスさんの口から意外な言葉が。

「今日は仕事を頼みに来たのではありませんよ」
「え?」
「息抜きにね、貴女を誘いに来たのです」

今日は良い天気ですし、ね?と首をちょっと傾けて微笑むランスさん。ちょっとその笑顔は私には眩しすぎます!

「どうです?」
「行きます、もちろん!」

そう返答すると、ランスさんが手を差し出してきました。えっと、これは握れ、ということなのでしょうか。躊躇しながらも手を伸ばします。そうしてから、ランスさんは私の頭を二回ほどポンポンと叩きました。

「貴女は良い子ですね」

これは完全に子供扱いされています。口には出しませんが、もう子供扱いは止めて頂きたいのです。
今、ランスさん、貴女が好きだと言ってしまおうか、と思いましたが、今はまだ心の内に秘めておくことにします。来たるべきその時までは。
そうしてランスさんの手を握っていた手を離して、腕にぎゅっと捕まります。こんな関係も悪くはないと思っているのです。


(だってランスさんにいっぱい甘えられるでしょ?)


炉稀へ相互記念。遅くなってすみませんでした。


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