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「サイバトロン戦士、トランスフォーム! この小さな異世界の友の為に、人探しだ!」

「「「おおー!」」」


関わってまだ一日も経っていないというのにナイトレイが帰る為に多くのトランスフォーマーが動いてくれている。それだけで感激に倒れそうな思いだというのに「此方の世界も中々楽しいぞ? 少し見学だと思えばいいのさ」とマイスターが優しい言葉を掛けてくれる。


「ありがとう」

「どうだ、ひとつバスケでもやっていってみないか?」

「バスケ…?」

「トラブルを繰り返しながら敵陣にある籠に突っ込む競技だよ」

「え、遠慮しておきます…」


司令官がニコニコと誘ってくれるが嫌な予感しかしない。丁重に断ると何故かマイスターが残念そうだった。
ナイトレイにトラブルを味わって欲しかったというのか。


「さあさあ乗った乗った! このバンブルさんがバーッと連れてってあげるよ!」

僅かに首を上げるだけで視線を合わせられるミニボットなら交流も容易い。人間の姿になってから見上げ続けることの辛さを味わったナイトレイは頷いて変形したバンブルへと乗り込んだ。
運転しているフリだけでもした方が良いのだろうか。そう考えてハンドルに恐る恐る手を添えると黄色い車がきゃっと悲鳴を上げて飛び上がる。


「くすぐったいってば!」

「あ、ごめんごめん」





バンブルに「運転はおいらがやるよ! 人間のみんなもトランスフォーマーだってことを伝えれば納得してくれるんだ」と言われたので大人しく座り、荒野を眺めながら椅子に身を任せる。


「中々みつからなかったね…」


既に半日は過ぎ去っている。空も暗くなり始めたのでついさっきコンボイから一時帰還するようにと連絡が入ったため、基地に向かっている最中だ。


「大丈夫、気にしないで。もともとそんなに早く見つけられると思ってないしね。向こうが探してでもなきゃ………ねぇバンブル、あの飛んでる奴らはもしかして」


前方から白と青のトランスフォーマーが飛んでこっちに来るのが見えた。
遭遇しまいとバンブルがハンドルを大きく切ったので車体が遠心力に振り回される。シートベルトをしていて良かった。


「デストロンだ! 大変、司令官に知らせなきゃ…」

「そうはさせないぜ、黄色いチビ!」


後方から突如光線が飛来し、幾つかある中の一つがバンブルのボンネットに当たる。当たりどころが悪かったようでうわあと声を上げて車は停止した。
慌てて外を覗くと先程は居なかった戦闘機が二人の上を飛び越えるところだった。


「へっ、俺様にかかりゃちょろいぜ!」


自慢げな声にバンブルがそっと、


「あれがスタースクリーム。こっちの世界のね」


と教えてくれる。


「なんか私の世界よりメガトロンに折檻食らってそうな奴だ」

「何だってェ!?」


思わず漏れた感想に意図せず挑発が含まれていたようだ。
空を駆けていた戦闘機が緩やかにUターンをして変形しながら目の前に着地するとズカズカ歩み寄り、器用に指先でバンブルのドアを開け、ナイトレイをつまんで持ち上げる。


「ごめんよナイトレイ、打ち所が悪くて…トランスフォーム出来ない!」


抵抗しようとナイトレイが暴れる。
顔面も黒い塗装に覆われているスタースクリームの手から零れそうになる。
背後にさっき目撃した二人のトランスフォーマーも到着したようだ。


「スタースクリーム、落とすなよ」

「はいはいメガトロン様の仰せの通りに」


落ちかけたナイトレイを軽く握り直し、手のひらに立たせる形で姿勢を整えさせるとスタースクリームはなんの配慮もなくメガトロンと呼んだ方の白いトランスフォーマーに差し出した。
勢いにスタースクリームの上で再び尻餅をつく。
顰め面で再度立ち上がると目の前に居る二人が誰なのか分かった気がした。
青ベースのボディ。一際目立つ赤のバイザーに加えマスクで表情は全く伺えない。
だが、纏う空気は彼と同じだ…。


「メガトロンか…あとその陰気で陰険で無愛想で実は家族思いとかいう設定のありそうなお前…まさかサウンドウェーブ!」


そう、事の元凶と。


「ぶほっ!」

「…くくっ」


盛大にスタースクリームが噴き出し、メガトロンは誤魔化そうと真面目な顔を取り繕う。しかしビクビクと痙攣する口元をサウンドウェーブとバンブルは見逃さなかった。










後書き
そろそろ無駄に長いとお叱りの言葉を受けそうなのです。

131003

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