Main
First:≫Main:MemoLinkClap;re


あ、とカレンがある所を指差し、私の方を向いて微笑んだ。


「ショックウェーブに似合いそう」


黒を基調としたそれは私の目から判断しても問題がなさそうだ。
迷わずそれを購入するとカレンが値札を見て目を伏せる。


「金に問題はない」

「…うん」


でもやっぱりごめんね高かったや。
申し訳なさそうにするカレンに何と声を掛けるべきか悩んだが、こんな時に浮かぶのは本で見かけた何とも私に似合わぬ言葉。


「…君が選んでくれたのがいいんだ」


しかしそれ以上思い付く筈もなく渋々その歯の浮きそうな台詞を彼女に向けると、ぷっと吹き出す。


「ひ…あはは…っ! 君って、ショックウェーブが君って言った…!」


笑うべき所はそこなのだろうか。
私がおかしいのかカレンがおかしいのか分からなかったが、問題ないだろう。

道の両脇に並ぶ店を眺めては凄い、可愛いと期限良さげに品物を手に取るが決して買おうとしないカレンに痺れを切らして問いかける。買うつもりはないのか。
カレンはにっこりと笑顔を浮かべて言った。


「ショックウェーブが選んでくれたものにしたいな」


…どうやら私はセンスを試されているようだ。
では、とカレンの手を引くと驚きの声が聞こえるが気に留めず、初めからコレだと考えていた商品の前に立つ。


「私だって、お前に似合いそうなものを探していた」

「…でも、これって」

「問題あるのか?」

「…ううん。問題ないよ」


よく分からないがカレンが納得してくれたならそれで構わない。
購入した服と帽子を袋に入れて貰って受け取るカレンの表情は幸せに満ちていた。


「明日着るから、楽しみにしててね!」

「私も、カレンの選んだものを着る」


ちなみに二人とも試着はしていない。まあ私が見た限りどちらもそうかけ離れた大きさではなかったので大丈夫だろう。
夕飯は宿で取るのでカレンの荷物を奪い取り帰り道に急いでいた。

そして夕飯後、勿論カレンを頂かない道理はない。
毎度ながら体力がないなと膝に預けられたカレンの髪を梳いて窓から空を見上げる。
影に隠れた月がにんまりと弧を描いていた。


「もうすぐ…」


もうすぐ、作戦を実行する時が来る。
人間を象った入れ物に一時的に入るだけのつもりがもう一年が経過する。人間の恋人が出来たことは想定外だった。この地球に降りてからの日々を思い返すと、およそ九割の確率でカレンが登場する。
私の役割を果たし、地球を手中に収めるまでは弱みを持つ利益がないので姿を消し、カレンを一人で取り残す事になるだろう。
だが、そう長くはない。
それからどうせなら二人で暮らそうと提案するつもりだ。
どんな反応をくれるのだろうか。











後書き
ショックウェーブのキャラじゃないです…。

121116

prev next


Bookmarknamechange

 
Since.2011/07/29
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -