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歓声を上げて海へ駆け出す背中に一歩踏み出すと、ぐわんと頭を揺らす感覚。
小さな呻き声だったのにカレンは直様気が付いて引き返し、膝をつく私の肩に手を置く。
「頭、痛いの?」
「…いや。何でもない」
本当だった。
本当にその奇妙な感覚は去っていたというのにカレンは帰ろうと提案し、折角来たのだからと却下すると思い付いたように彼女は言った。
「近くの宿に泊まろうよ」
不意打ちに柄にもなく固まる私の心情など考えもせず、ナイスアイディアさすがカレンちゃん、とクスクス笑うカレン。
「自分にちゃん付け…年齢を考えろ」
「…はい。スイマセンデシタ」
ちょっぴり八つ当たりしても構わないだろう。
だが思っていた以上の効果を挙げたようで心の底からの謝罪を貰った。どうでもいい。
宿はあっさり取れて案内された部屋は極上の物、らしい。適当に「一番良いものを」と言ったがカレンは顔を真っ青にして私を引き止め困らせた。
「ショックウェーブ、そんなにお金あるの!?」
どうやら彼女は私を見くびっているようなので、無言で財布の中身を見せつけるとカレンは呆然とした。
「どうだ。足りるか」
「う、うん。あんな部屋に住んでるからてっきりショックウェーブったら貧乏なのかと…」
「…長期間彼処で過ごす予定はない。よって無駄金を使う必要もない」
歯に衣着せぬ言い回しに少し衝撃を受けたのは私だけの秘密だ。
その頃カレンが、
「長期間…ってことはもしかして私の家に来るつもり? お金を貯めているのはけ、結婚資金?」
と顔を一人で赤らめていた事に気が付いていたが面倒なので無視した。…馬鹿者め。
後書き
でも悪くないって思っちゃうショックウェーブです。
121116
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