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ニュースが流れ始めた。しまった、朝に音量を下げたままだった。


ニュー…です。先程……アパー…の前で女性が轢き逃げ…れる事件…被害者……カレン…即死………


ぼんやりと、被害者の女性の写真を眺める。不自然に手が宙に浮いて、まるで透明な誰かと手を繋いでいるような写真。
ぼんやりする意識の中、カレンの部屋を片付けなければ、と私は考える。
彼女は綺麗好きだ。
きっと今頃汚い自分の部屋に憤っているだろう。
踏み出すと同時に世界が壊れてしまったような感覚に襲われ、頭を抱えて蹲る。
痛い。割れそうに痛い。悲しい、悲しい、悲しい、悲しい。
こんな恐ろしいものが感情なのか。
強制的に自分の意識を手放す。その寸前、「大丈夫?」と尋ねるカレンの声が聞こえた気がした。






それから一日経ち、ショックウェーブはサウンドウェーブが地球に降りるという報告を聞いて宇宙に帰った。体も馴染むソレになっている。
機械の体で冷静に彼は考える。
カレンにファンタジーのような幸せや理想を求めていたのだろう。だってほら、私が感情を理解出来る筈がない。この涙さえ出ないボディは彼女とは全く異なる金属のものである。
感情を持てたと思い込みたかっただけだ。
いくら数々の記憶を振り返ろうと微塵もスパークは動かない。完全に不要になる前にせめてもの情け、と考えてショックウェーブは地球の記憶をデリートした。
この情けすら、思い込みなのだろうかと考えながら。










121116

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