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仕事の途中休息をとっていると、トランスフォーマー用の扉が開いた。誰だろうと見ても姿が見えずトールは首を傾げて立ち上がる。
廊下からひょっこり可憐な人間の女性が顔を覗かせた。


「あ、アリス」

「こんにちは、トール。…この有機物の山は皆からの贈り物かしら?」


うっわーと嫌そうに顔を顰めてトールの元に歩み寄る女性は人間のように思えるがその正体はトール達と同じトランスフォーマーだ。
人間用の通路を通るなんていやよといつもトランスフォーマー用の扉を通ってくるのだ。通れるならなんでも良いだろうにと何時もトールは不思議な気分にさせられる。


「相変わらず人気よねぇアンタ」

「そうですか? まあ女性型は少ないので気遣って頂けてるだけですよ」

「鈍感っていうか…いえ、確かにあいつらはわかりにくいものね…」

「…分かりにくい、とは?」

「いーの! 気にしないで」

「アリスがそういうなら…」


仲良さげに会話を続けるとトールはアリスが背中に何か隠し持っている事に気が付き、何だろうと覗き込む。
察知したアリスが更に見えない位置へ持っていく。


「アリス、ちょっとくらい良いじゃないですかぁ…」

「いえ、だってトールがそんな風に覗いて来るからつい隠しちゃっただけよ。ほらそんな泣きそうな顔しないの」


恨めしげにアリスを眺めるトールはアリスが油断したと確信し素早く手を伸ばした。が、アリスは服の隙間から触手を出してトールの手を振り払う。
再び睨み合いが発生した。


「泣きますよ」

「むしろ泣きなさいよ」


トールの部屋の前を横切った集団は部屋から伝わる冷気に震えたという。

一通りじゃれ終えて疲れたトールと余裕顏のアリスが地べたに座り込んでいる。


「何ですかその体力は…っ」

「アンタなんてまだまだってことよトール」


楽しかったと息を洩らし、へたり込むトールにニコニコ笑顔でにじり寄るアリスは蛇のようだ。何という人物だとトールは背筋に冷たいものが走った。


「これはトールに」

「アリス…ゼラニウムですか」

「し、知ってたの?」

「途中で見えてましたよ」

もう、と怒ったアリスが膨れっ面でトールに花を投げ付ける。そんなアリスの可愛さに今度はトールが笑う番だった。


「(ゼラニウム…真の友情。光栄ですね)」


小さな友人を壊れる程抱き締めトールはニコニコ崩れる表情を抑えられなかった。










後書き
仲良しなアリスと。
アリスは人間がは割りと嫌いじゃないけど人間扱いは嫌っていう設定です。むしろ人間は服で着飾ったり出来て楽しいとかなんとか。

121012

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