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ブラックアウトも立ち去った事だし仕事しなければ。そう考えて席に着いた途端また茶化す声が聞こえてきた。


「で、サイドウェイズとは愛を語り合う仲なのかい?」

「違いますと何度言ったら分か………うわ」


まだそんな事を聞くか、とむすっとしながら否定の声と共に顔を上げる。
その声の主は人間でもオートボットでもなく、バリケードだった。


「ならいいけどな」

「バリケードが…そのような事を仰るとは、どうしたのですか?」

「おいおい時間の浪費から救ってやったの誰だと思ってんだよ」


素っ気ない口調とは裏腹に、彼は目を座らせじりじりとトールとの距離を詰めてきている。
ヤバいとは分かっているものの、相手はあのバリケードだ。逃げた後の報復が恐ろしい。
そう考えて抵抗をしなかったのが不幸を成したのだろうとのちのち彼女は実感する。
顔を掴まれ、いつも以上に距離の近いバリケードに、


「…何か?」


と勇気を出して問い掛ける。少しの沈黙の後、無言で彼はもう一方の手を差し出した。


「受け取れ」


その手にはピンクや白、黄色の花が束ねられていた。
似合わないです、と考えぽかんとしていると手を引かれその小さな花束をトールの手に乗せる。


「受け取ったな?」

「はぁ、そうですね。この花は一体…?」


満足げにバリケードが笑う。悪い事を考えている顔だ。


「リンドウとかいう雑草でなぁ」

「………花言葉は、悲しんでいるあなたを愛する」

「その通り。流石トールだ、検索の早い事で」

「どういう意味ですか…?」

「つまり、」


彼と一定の距離をとっていた手が押さえられる。
両の手を塞がれてはもうトールに抵抗する術は無い。


「振られちまえ。泣けよってことさ」

「ちょ、振られろって一体誰に…!」

「何だ、自覚無しか。これを口実に少しからかってやるだけの予定だったんだけどな…ま、このまま続けてもいいだろ」

「ちょ、本気ですか!?」

「俺はあまり嘘は好かないタチでな」


それこそ嘘ではないか。
焦らすようにゆっくりと唇に触れ、進退窮まる状況。
頭の中が真っ白に染まった。


「何をしているバリケード!!!」

「………と、まあ邪魔が入るのも予想出来ていたっちゃ出来てたが…」


こうも想像通りに動かれるのも腹が立つってもんだよ。
耳元で囁き、トールから名残り惜しげにバリケードは雛れた。
空からその人物が降りて来るのを待つ訳もなく、バリケードは逃げ去った。











後書き
バリさんが暴走しました。
本当はサウンドウェーブが此処に居るはずで…
(予定外

120925

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