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報告が終わり。
トールは疲れた表情で俯いて帰途に着いていた。朝っぱらから辛気臭いのは自分でも分かっている。
だが、あの人間やオートボットに囲まれサイドウェイズとの仲を勘繰られては疲れずにはいられない。
「たまには地球の雑草文化に触れるのも悪くない」
「そうですかね? …って、サウンドウェーブ様!?」
隣から聞こえた言葉に微妙な返事をした後、目を見開いてトールは飛び退いた。
無表情のまま親しげに片手を挙げられても困る。
「トール」
「は、はい」
「受け取れ」
「…え?」
無理矢理片手を天井に向かって開かされその手の中に小さな色とりどりのナニカを落とす。
花束だ。
「ガーベラ。燃える神秘の愛、崇高な美、究極の愛という意味を持つ」
赤、黄色、白、オレンジ、ピンク。それらが器用に束ねリボンを掛けられている。
「…花言葉ですか」
「ああ。アウディとかいう凡愚に遅れを取ったが、次はこうもやらせん」
「アウディはサイドウェイズの擬態した車ですよ」
苦笑するトールは満面の笑みを見せる。
「ありがとうございます、サウンドウェーブ様」
不意打ちに、らしくなくも動揺し目の光を数回瞬かせる。
そして口元を歪ませ
「ならそれなりの礼をくれたって良いだろう? そう例えば口付けとかの、な」
などと宣うので流石のトールも呆れてしまう。繊細な手つきで片手に乗せられた花束をつまみ上げ、ふっと笑うと、
「じゃ、こっちにしてあげますよ」
花束に金属の唇で触れた。
サウンドウェーブは恨めしげに己の用意したガーベラを睨む。
からかわれていると気付いたサウンドウェーブは憮然とした表情でトールとは違う方向へ足を向ける。
「仕事ですか」
「ああ。…俺は諦めないからな」
どういう事かと問う前に彼は姿を消した。
手元の花を見下ろし、目線の高さまで掲げる。
「究極の愛だなんて…意外とロマンチストなんですね。捧げる相手を間違えてますが」
残念ながらサウンドウェーブの想いは今日も伝わっていないようだ。
後書き
二度目になると、流れを変えるためちょっと不自然に仕上がって仕舞いました…。
イケイケなようでヘタレ奥手な音波も愛してます。
120913
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