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何だソレは。
開口一番にオートボットの誰もがそう言った。
友から頂きましたと返せば幽霊でも見たかのような目で彼等はトールを見る。
ディセプティコンらしくない爽やかな笑顔で黙殺しながらオプティマスプライムの下へ行く。
人間の目線からは何も見えないようで、入り口に立つレノックスは何も突っ込まず中に入るよう促す。
「おはようございます。オプティマスプライム」
「ああ、おはよう。…ん? ソレは何だい?」
「花というものです。その様子だとどうやら貴方も詳しくないようですね」
内心気落ちしながら言うと、落ち込んだ様子を察したオプティマスが慌ててトールの肩に両手を置く。レノックスが悲痛な声を上げた。
「おいよせってオプティマス!」
「私に良い考えがある! 共にハナとやらの育て方を探そう、二人なら二倍の速さで、」
その時彼の背後から白銀の手が伸び、トールの肩に乗っていた手を弾き落とした。
「オプティマス…貴様がトールを呼びつけたのは何の為だ?」
爛々と光る赤い眼に、トールは即座に腰を折り礼をする。
「御前で失礼を致しましたメガトロン様」
「すまない、つい…。さてではトール、報告してくれ」
「ふん」
だから言ったのに、とレノックスが身を強張らせながらこっそりとぼやいていたのは皆知っている。
「…以上です」
淀みなく告げるとオプティマスがありがとうと言い、メガトロンが前に進み出る。
「御苦労。…で?」
「…は。何でございましょうか?」
「その萎びた有機物は何だ」
はっとトールが己の右手に置いていたソレをみて、肩を落とす。先程までは可愛らしく咲いていた花はしんなりとした様子で佇んでいた。
これだから有機生命体は困るのだ。
「此方に伺う道中、サイドウェイズが」
「…ほう? デモリッシャーの所の臆病者か」
「花言葉がどうとか申してましたが…」
「花言葉とはなんだい?」
「私にもサッパリで」
「花の名前のアナグラムじゃないかな!」
「愚か者め」
頓珍漢な宇宙人たちのやり取りに堪えきれずレノックスが口を挟む。
「あーもう! 花に込められた言葉だって!」
赤の眼二対と青一対が一斉にレノックスを見つめた。
「…なるほど。不思議な文化だな」
「俺としたことが下らぬ事に時間を奪われたわ」
「それは素敵ですね」
反応は三者三様だった。妙に疲れたレノックスは解放され喜ぶ元気も無い。
無言でメガトロンが退出したのを見送ってからトールは人間に声を掛けた。
「これはどういう世話を?」
「あー…そのアサガオってのは朝に咲くからそんな名前でな。根っこごと引き抜いてあるから鉢と支柱を用意してきっちりやればまた明日に復活すると思うぞ? 俺がやっとくか?」
「いいえ。残りは検索して調べるので大丈夫です」
ありがとう、と他のディセプティコンからは滅多に聞けない言葉と見れない笑顔を浮かべ、トールも去って行った。
「やっぱ女性は花が好きなモンなのかね」
「そういうものか」
「ああ。聞いてくれよウチの奥さんもなぁ〜」
後書き
ちょっと長いよ!
120903
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