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「全く何をしていたあいつは!」

「さあ…私にはよく分かりませんでしたね」


ぷりぷりお怒りになっているのはスタースクリームだ。先程空から急転直下して来たのだがバリケードは既に逃げている。
漸く落ち着いたかと思うとスタースクリームはトールに向き合った。


「こんなところにいたのかトール。この俺様が探していたんだから自分から出て来い!」

「通信入れれば良かったんですよNo.2殿」

「…さっき助けてやったというのにその態度かトール」

「その件は本当にありがとうございます。でも意外ですねNo.2殿程鈍い方も居ないと思っていましたのに態度丸分かりでしたか?」


何気に辛辣な言葉と一緒にニコリと微笑めば顔から熱がでるほど怒っていたスタースクリームの機嫌は簡単に回復し、むしろ上機嫌といっても差し支えない。


「ふ、照れるとは可愛いやつだ」

「………」


調子に乗って、モテる男も辛いななどと呟くスタースクリームを気持ち悪そうに一瞥し、思わずトールは沈黙する。


「虫ケラ共によれば、この俺様に相応しいのはこの花以外あり得んらしい。美しい色、人間共もなかなか分かっているではないか!」


胸のコックピットを開いて慎重に彼が摘み上げたのはラッパのような形の花だった。
思わずトールは同情的な目線を送ってしまったが本人は全く気付いていない。それどころかトールの視線にまた勘違いも甚だしい台詞ばかりだ。


「だからこの花をトールにも分けてやろう! 」


この哀れなスタースクリームに慈悲をくれてやるのもたまには良いかと僅かな思い遣り、そしてちょっとした愉悦の為に教えてあげることにする。


「気持ちはありがたいですが、ところで花には意味があると知っています?」

「意味だと? 知らんな」


やはり彼は人間にからかわれてしまったようだ。


「その名前はスイセン。意味は自惚れ、自己愛ですよ」


スタースクリームが硬直し、わなわな震え出すまで数秒だった。駄目押しにトールが似合ってますよと言ってやればオイルを目尻に溜めてしまった。


「虫ケラぁぁ!」


そしてその恥ずかしさとかは全てその花を準備してくれた人間に向かったらしく走りながら変形して飛び立つ。


「乱暴ながら速いですね。あ、あとまだ意味がありました」


飛び去る姿を見ながらまたトールは口角を上げる。


「愛をもう一度。これはメガトロン様に捧げた方がいいんじゃないですかね!」


通信で言ってやると地球の言葉を話す余裕もないのかサイバトロン語でわーきゃーと騒ぐスタースクリーム。
相変わらずNo.2殿を弄るのは楽しいなとトールは思っていた。










後書き
スタースクリームは虐めたくなります。
でも今回は企画なのに虐め過ぎた気が…。ごめんねスタスク!
でも思ったよりトールさんがメガトロン様を尊敬していたのでやってしまいました。

121012


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