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「トールは居るか!」

「うげ、グラインダー…ごめんトール私帰るわ」


何の前触れもなく、ノックもせずに現れたのはグラインダーだった。
背中に背負うヘリコプターの羽根を揺らして威丈高に叫ぶグラインダーに、笑顔から一変し不愉快そうにアリスが立ち上がる。


「どきなさいよデカブツ! その巨体が邪魔なことくらいそのスッカスカなブレインサーキットでも理解出来るでしょう? 分かったなら道を空けな!」

「う、アリス…す、すまん」

「なんで一歩しか空けないの。私みたいな人間サイズには充分だろうって嗤ってるわけ!?」

「そ、そんなことは…」

「ほら、今度こそきちんと私に敬意を払いながら退きなさい!」


トランスフォーマー用の扉は結構大きい。グラインダーの横を擦り抜けて行くことも可能なのにわざわざ罵声を浴びせて完全に退かせる辺りが彼女らしい。


「グラインダー…おいで」

「う、む…」


トールが困ったように声を掛けても、入ってきたときとは180°反対の態度でしょんぼりしている。


「どうしたんです?」

「そ、そうだ用事があって来たんだ。これをトールにと思ってだな」


グラインダーが差し出したのはトールの予想通り、花だった。


「ありがとうございます。綺麗ですね」

「そうか。…こんな有機物を贈られて嬉しいのか?」


情緒も欠片もない言葉にまたトールは苦笑する羽目になった。
成る程、アリスはこんなところが癇に障るのだろう。


「まあ、なんていうか用意してくれたのが嬉しいです」

「よくわからんな」


グラインダーはまだあまり心を理解出来ない。
無言で花をじっと見つめ、ふと質問をする。

「まさか…ブラックアウトは来てないよな?」

「ああ。来ましたよ結構前に」

「何だとこのわたしより早く…だと!?」

「はい」


グラインダーはブラックアウトに対抗心があるらしく、こういうイベントの時はいつもブラックアウトはどうだ来たかおれの方が早かったといつも聞いていく。
聞かれる側としては困ったものだ。


「くっ…ブラックアウトめ!」

「あまり叫ぶとオプティマス・プライムに言いつけますが」


さっきから騒がしく、文句を言われたら嫌だからそう釘を刺すとトラウマが蘇り顔からオイルを引かせ、すまんと小さく呟いた。
顔は…顔は裂かないでと縮こまりフルフル怯える姿には少し申し訳なく感じる。


「ハナ…いちおういみもある」


カタコトになりつつ情けない部分が恥ずかしくなったグラインダーは気を取り直した。


「気が向いたら調べてもいいぞ。じゃあ失礼する」


最後は逆に偉そうに告げてグラインダーは部屋を出た。
扉が閉まった瞬間

「おのれブラックアウト! 奴のことだから気持ち悪く照れてラストに渡すと考えていたのに…!」


とグラインダーが言った台詞にトールは吹き出した。
照れていましたと教えてあげるべきか悩んだが休息時間を取り過ぎたと気が付いたので止めておく。
音から察するにグラインダーはトランスフォームしている。
手元の青みを帯びた白い花に目を閉じ囁く。


「私は貴方のこと、認めてますよ」










後書き
花の名前はシャガ。意味は「私を認めて」

ネメシスに乗ってメガトロンの側にすぐさま駆けつけたブラックアウトにコンプレックスを抱いてる設定です。
結構性格は違って、
ブラックアウトは一人称は私。スタースクリームにだけ怒りっぽい。頭は良いが内心臆病者。紙装甲。婉曲にものを言う。レノックスにちょっとトラウマ。下から見上げられると悲鳴を上げる。
グラインダーは一人称はわたし。普段は冷静且つ叫び屋さん。戦闘時は冷静沈着で勇敢。意外と硬い。ストレートな表現。オプティマスにトラウマ。現れると逃げ出す。アリスは怖い。

どちらもメガトロン様自身に忠誠を誓っております。

121012

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