Main
First:≫Main:MemoLinkClap;re

「…」

「…何さ、言いたい事があるまらはっきりいいなよ」


挑発的に言ったって彼が何も語らないと私は知っていた。
それでも尚、毎回聞いてしまうのは何故なのか?
それは、私にも分からない。
ネメシスの廊下で壁に追いやられ、私はため息を吐いた。





固まってしまった肩を解す為、ぐるぐると腕を回すと癖になってしまうかもと不安になるくらい豪快な音を立て、肩関節が悲鳴を上げる。


「ステラ様、どうやらまたサウンドウェーブ様を困らせていたらしいですね」

「うるさいわよビーコン!」


飄々と脇を突っついてきた不届き者に蹴りで返事をしてやった瞬間、今現在進行形で演説を朝っぱらから繰り広げているスタースクリーム様がこちらを睨んでいた。にへら、と笑顔でやり過ごせば呆れた表情で首を態とらしく左右に振り、


「全くもって遺憾である、まさかこの俺様がありがたーい高尚なお話をしているというのにも関わらず私語を慎まない大馬鹿がいるとはな!」

「あ、じゃあ私は馬鹿じゃないので違いますね」


しゃあしゃあと言ってやれば予想通り目を吊り上げ、怒りを見せ私もやるか、と応戦するため拳を構えたとき。ひょろっと伸びた可憐な腕がスタースクリーム様の前に出る。制されてるのだ。
腕の持ち主は何も語らず、少々気まずくなったスタースクリーム様は一度軽く咳払いをし、その場を閉めた。


「サウンドウェーブ…まあ何も言わんが、そのクソアマ構ったっていいことはないぜ」

「…」


何も答えず無言で己の顔を覗き込むサウンドウェーブに舌打ちしてスタースクリームは途中ビーコンに文句つけながら姿を消す。
先ほどからかってきたビーコンも当然のように自分の持ち場に着いて仕事を始めている。それを恨めしそうに一瞥し、ステラも踵を返す。
背後から伸びる手に気付くことなく。





伸ばされたその指は僅か彼女に届かず空を掻く。あと一歩踏み出してもう一度手を出せば届く距離にいるというのにサウンドウェーブにはその行動が出来なかった。
分かっている。
彼女が主に心酔し、命を捧げる狂信者だと。
己のような何がしたいのかまるで分からない者を何とも思ってないことも全て分かっているのだ。
だがその盲目的に忠誠を捧げる彼女だからこそ興味を持ってしまった。
途方に暮れながら追い掛けることを止められない、そんな制御出来ない自分は初めてだった。






後書き
…あれ、サウンドウェーブ?
夢だけど、夢じゃなかった(´Д` )

prev next


Bookmarknamechange

 
Since.2011/07/29
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -