Main
First:≫Main:MemoLinkClap;re

私は歓喜に震えていました。
およそ人間に負けるなど予想していなかった私は見事、敗北を喫しました。
完敗も完敗、私は最初を除いて彼女の横へ並べたのはたった一度です。後は全て彼女の後へかじりつく事しか出来ませんでした。
この誰よりも美しく誰よりも速いと自負する私が負けた。
衝撃に打ち震え、あの激情家スタースクリーム並に激昂してトランスフォームしそうだった私の隣へ車をつけ、初めのように窓を開いた彼女は一言。


「楽しかったわ。私はステラっていうのよ。名前を尋ねて構わないかしら」


呆気に取られ、無言でいると拒絶と解釈した彼女は少し寂しそうに笑い、気を悪くしたならごめんなさいと頭を下げ、立ち去りました。
何故かは今でも解りませんが、私はその後を密かに付けたのです。
帰りの運転は先ほどまでの嵐のように激しいものとは異なり、穏やかなものでした。人間風にいうなら、まさしく安全運転の鑑です。
車庫入れして車に鍵を掛け、家に帰る彼女を小道から見つめ、私は考えました。
改造車では、と。





その後二度と会うことはないだろうとの考えは清々しいまでにあっさりと裏切られる事となります。
何故か何度もあの峠に現れ、何故か毎度私から勝負を挑んでしまうのです。
勿論全敗ですよ。悔しいったらありゃしない!
憤りつつも不思議な満足感に襲われた私は一度、彼女へ声を掛けようとしました。しかし彼女は、


「貴方が私に勝ったとき。私に声を聞かせてくれないかしら」


などと宣う。そう、私のタイミングを読んで。
どうして分かったのかと頭を捻りネメシスへの帰途に着く私は美しい。この美しさを陰らすのは不眠や悩み事だというのに、今回その原因である彼女を厭うことはありませんでした。
いいえ、声を掛けられたことに喜ぶ私がいます。
絶対話し掛けて勝利の鬨を上げてやる。何時しか意地になり、敗北記録を伸ばす私。





ある時思い立ち、サーキットへと彼女を誘導しました。


「あちゃぁ…気付かれたか」


車の中でぶつくさ言っていますが無視です無視。





後書き
勢いだ!

120617

prev next


Bookmarknamechange

 
Since.2011/07/29
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -