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強い風の日だ。

庭先からガサガサと大きな音が聞こえレイは驚いて立ち上がった。
動物でも来たのだろうか。窓から周囲を確認するも異常は見当たらない。
仕方がないので様子を見に行く…なんてこともせずレイは帰ろうとする。それを引き止める声が聞こえた。
渋々振り返るとレイは外に出る。
髪の毛が風に煽られて靡く。それを鬱陶しげに掻き上げると彼は漸く姿を現した。


「よう」


妙に浮ついた声がかかりわざと嫌そうな表情を作ってレイは彼を見上げた。


「茨木…何か、用かしら」

「そうつれないこと言うなよ」


クツクツと喉を震わす茨木にムッとして再度踵を返すと想像より強く腕が引かれ、よろけながら茨木の腕の中に閉じ込められる。
ちょっと、止めてよ等と小言を言いながらもレイの口元は緩んで微かな微笑みが見受けられた。


「まったく…」

「レイ」

「なぁに?」

「レイ」

「はいはい」


おざなりにも聞こえる返答に気を悪くすることもなく茨木は抱きしめる腕の力を強めた。
甘えているなどとは思っていない、愛でているだけだ。
そういえば。
以前しょうけらの質問、貴様のような乱暴な妖怪には似合わないと問われたときに返した答えを茨木は思い出した。
嘘ではないが敢えて言葉足らずに言ってやったのだ。わざわざ他人に彼女の事を語るつもりは微塵もない。
嗚呼だが今問われるならば。


「お互いに依存し合っている、か」

「ん?」


それが一番近いと茨木は思う。全てを捧げるにはお互い大切なものがあるものの、いつだって嫉妬心やら独占欲やらに振り回されている。


「何でもねぇ」

「はいはい」


こうして過ごす日々は誰であろうと奪わせるものか。大切なものであろうとこの宝を奪うものが現れたら容赦しない。
それがたとえ彼女の意志であろうと。
珍しく何もせず黙り込む茨木を覗き込むレイをニヤリと笑って彼女の家に放り込む。
長い夜になりそうだ。





後書き
ホントは機械生命体の予定でした\^o^/
いつの間にか初書き孫です。

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