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月の綺麗な夜だった。
三日月よりか僅かに太い月が夜空で星を圧倒し掻き消してしまう晩、とある女性は眺めようと建物のベランダに出ていた。
建物とは城。皇都ルルノイエに鎮座する王家の拠点地。アガレス・ブライト亡き今その息子、狂皇子ことルカ・ブライトの城。
夜も更けて人気の無い所にレイは一人佇んでいた。
ぼう、と夜空を見上げるレイは少女のような無邪気さと同時に大人の女に相応しい魅惑の色が見られる。
「美しく、恐ろしい夜」
ぽつりとレイが呟くと冷たく空気が震え言葉を広げようとする。
その言葉は何者にも届かないと思われた。
しかし背後の闇より白銀の狼がのそりと現れる。すぐさま気が付いたレイは身体を優雅に反転させその狼と向き合う。
狼は理性をその目に宿し狂気に嗤う。
「恐ろしい、か」
「ええ。美し過ぎる月…」
「月の姫とも称される奴が言う台詞か?」
「月に吠えるしか出来ない獣に言われる筋合いはないわ」
鋭く尖った口調でレイが敵意を顕わにすれば狼…ルカは哄笑した。
聞くものの恐怖を起こすソレに、レイは軽く眉を顰める。
「ク、ククク…お前位だ……躊躇いなく、目の前で俺を獣と呼ぶのは」
「誰もが思うことを代弁してるだけ」
「それでこそ我が花嫁に相応しい」
離れていた距離を縮め、ルカはレイが逃げられないよう腰に手を回して引き寄せた。軽い痛みを伴うものの声を上げ拒否する程では無いと判断し、レイはルカを見上げた。
その静かな美貌を満足げに指がなぞる。
「月よ…我が手に堕ちるがいい」
「………本当、面倒な男」
それが俺だろう?
一瞬珍しく穏やかな顔を見せ、目を閉じたレイにルカの顔が近づく。
狼は水面に堕ちた月を掻き乱した。
後書き
謎の小説です。
激しく謎です。
月と呼ばれる女とソレに吠える狼が書きたかっただけです。
ゲームは2しかやってないので最近のはキャラがよく分からないですね…。
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