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「これは…一体、どういう?」

「雑種風情が、こんなところまで来おったか」


見てしまった…地下で起きている事を。





なんてことはない普通の休日。
ただ、教会の傍を通った時に助けを求めるような声が聞こえた気がした。
聞き間違いかもしれない、だが黎は戸を開ける事を望んだ。

珍しく神父が不在でがらんどうな空間。黎は声を頼りに歩みを進める。
行き着いたのは地下へ続く階段。
そっと段を降りて、その先に見たもの。


「これは…一体どういう?」

「雑種風情が、こんなところまで来おったか」


呆気に取られてつい声を漏らすと背後から威圧感が溢れ出す。
ゆっくり警戒しながら振り返る。と、壁に優雅にもたれた金髪赤目の男。


「餌か」

「変に勘があるから死ぬ羽目になる」


答えるまでもないようだ。


「…残念ながら死ぬ予定はないのでね」

「雑種…逃げられるとでも思ったか」

「雑種雑種と喧しい。私は純正たる…人間さ」

「フハハハハ! その強がり…いつまで持つか。王は気が長いのでな。逃げる時間をやろう…」

「気が長いなんて大嘘だろう…だが、その慢心を利用させていただくか」


トトトと彼の横を通り抜けて地下を駆け上がり、最後の言葉を呟く。その言葉をきっかけに会話の間に開いておいた陣を開くと漸く金髪の表情が変わる。だが。


「もう遅い」


肉体を強化して加速し、颯爽と逃げ出した。
魔術師だったか、と呟きうっそりと嗤う男を残して。





後書き
なんてことはない単なる暇潰しです。
何がしたかったかというと横を駆け抜ける黎と気が長いとか嘘言ってる王様です。

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