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何だか、懐かれたようだ。

きっかけは本当に大したことじゃなかった。人間を窮避するディーノは仲間にもっと歩み寄れ、偏見の目を無くせなどと言われ続け更に頑なに反発し、内心辟易していた。
初めは同じ戦場に立つのすら嫌がったのだ。
そんな彼に懐かれたのはたまたま優しくしてやったからなのだろう。





とある日のこと。
NEST基地内では喧嘩が頻発していた。
ディーノと、主にアイアンハイドそしてその弟子であるサイドスワイプ。
アイアンハイドが相手のときは経験の差もあり口下手ながら、大抵アイアンハイドに軍配は上がる。
大変なのは大体同年代(トランスフォーマーの同年代枠が一体どれだけの年数なのかは知らないが)なサイドスワイプが相手となった時だ。
まず始まりからして掴み合い。最終的には銃撃戦のち強制退去。
アイアンハイドとバンブルビーが間に入り、我慢の限界を超えたオプティマスが叩き出す。
その日もそんな一連が行われた後であった。

サイドスワイプとディーノはいつものようにぷいと余所へ向かい歩き出す。
サイドスワイプの気配が無くなったのを感じてディーノはすぐ側の部屋に入り座り込んだ。


「オレが…悪い訳じゃない」


独り言を漏らすと怒涛の文句が溢れ出た。
尽きないソレを吐き出していると部屋の奥に繋がるシャッター、つまりトランスフォーマーの扉が開かれた。
警戒してディーノが飛び起き武器を手にすると手が現れ、そして見覚えのある顔が覗く。


「アンタ…ディセプティコンの、」

「元、だ新兵君。出来れば名で呼んで頂きたいものだな」


ナイトレイだ。
スリープモードに入っていたのか、何処かトロリとした目でディーノを見つめる。


「ああそうかよ嘘臭ぇ。何だよ?」


嘘臭いだの何だの言いつつも敬遠しない辺り、ディーノの人柄が見えてナイトレイは感心した。
そこらの奴より余程偏見を持っていないのだろう。
相手の言ってることを信用したりしているが態度に出せない…といったところか。


「うーん…そんなところでぐちぐちされてると五月蝿いんだが」

「…此処、アンタの部屋辺りだったか。悪い」

「素直に謝れるんだ。意外だな」

「な!」


キャンキャン吠えるディーノを手で追い払う。
不満げに見るディーノを見てナイトレイは目を細めた。
段々と仲がよさ気な会話に進展し、これならとナイトレイが気まぐれを起こす。


「まぁ…何だ、折角だから上がっていくといい。話を聞く程度なら出来る」

「………え」


迷いに迷いつつ、結局ディーノはナイトレイに話を聞いて貰うことにした。





「でよーオレはこう思ってるってのに」

「うん。聞いてくれないのか」

「そうなんだよ!」


マシンガントークに時折相槌を打ち言葉を挟む。
たったそれだけしかしていないが、それこそディーノの求めていた相手であった。
真っ向から反論するのではなく、少しでも良いから自分の意見を聞いてほしかったのだ。
しかしそういった役回りを得意とするオプティマスは最近忙しく内情に関われず、バンブルビーはサムの機嫌取りに忙しい。
残った連中は話を聞かない若者や我関せずを貫く医師とその弟子。兵は聞いてくれるものの理解してくれない。
こうしてディーノの不満は溜まっていたのだ。


「あのさ…ありがとな」


大体話したいことが無くなったディーノが恥ずかしそうにそして晴れやかな慣れない笑顔を見せて言う。
無言で笑い返せば、どちらからでもなく今度は愚痴を吐かずお互いのことを尋ね合い始めた。





後書き
こんにちは、かぴばらです。
真様、リクエストありがとうございます。
運命主が懐かれる話にしてしまいましたが、もし違うのであれば御一報下さいませ!

20120301

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