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「ディーノおぉー…!」
「げ、ノエル」
背景に般若を背負いゆっくりと怒りを抑えながらやって来るノエルを見て、サイドスワイプに新しいソードを披露していたディーノは肩を揺らした。
「…お前、またなんかやらかしたのかよ?」
「そんな記憶は…ない、筈」
「筈って、お前なぁ」
気を遣って尋ねてくれたサイドスワイプにも曖昧な答えしか返せないまま首根っこを引っつかまれたディーノ。
冷静ではなくとも人間を踏んだり蹴飛ばしたりしない辺り、地球での暮らしの慣れが伺える。
「ちょっと借りてくわね」
「お、おう…ごゆっくり」
「てめっサイ、」
「ありがたく。じゃあねー」
サイドスワイプが引き攣った笑顔でノエルを見送り、先程無理矢理黙らせられたディーノの冥福を祈った。
「ったく、何だ!」
「私、貴方のこと見損なったわ」
「はぁ?」
気を取り直してノエルと向き合ったディーノは不明瞭な返事に不可解な顔をした。
「別れましょう」
「…どういう事だ?」
「どうもこうもそういうこと!」
ぴしゃりと言い放つノエルに、ディーノは自分の頭部が熱くなっているのを自覚した。頭にオイルが昇ってきたのだ。
どうせ後悔する事になるのに、と何処か冷静な部分で思いながらも衝動のままに言葉を吐き出す。
「勝手にしろ!」
勝手にするわ、今までアリガトウサヨウナラ。
激昂するディーノを冷めた目で見つめトランスフォームして去ったノエルの後ろ姿を眺め彼は呆然と悔やんだ。
何故自分は理由も聞かず突き放したのだろうか。去り際彼女は恐ろしいほどの無表情だった。それは悲しみを隠すときのノエルの癖だ。いつも自分はこうなんだ。
気がつくとノエルの消えた方角へ一歩踏み出していた。
一瞬の躊躇いの後、もう一歩を出す。
頼りない足取りであったが確かにディーノは前に進み、そして愛しい女の元へ駆け出した。
一方こちらことノエルもまた、頭が冷えてから青ざめた。
あんなことを言うつもりではなかった。ただ理由を問う筈だったのだ。これも全部ディーノの奴が…いや、飄々としたディーノの態度にイラッとして言った自分が悪い。
考えれば考えるほど沈んでゆく思考にバイクから姿を変えて邪魔にならない所へ座り込む。
「『どうした?』『不機嫌な訳を』『聞かせておくれよプリンセス!』」
「いや…気にしないで、今は一人にして欲しいの」
陽気な蜂が話し掛けてくるもつれない返事を返すと、納得行ったようにコクコクと頷く。
「『了解致しました』『ホシをひっ捕まえて』『みせますわ』」
「え、」
ニッコリと純真な笑みを見せてカマロに姿を変えたバンブルビー。
静止させようと伸ばした右腕は空を切った。
やがてバンブルビーに先導されたフェラーリが顔を覗かせる。見えたのはらしくもなく黙り込むバイクだ。
「『お大事に』」
「あ…手間かけさせて申し訳ねぇ」
気にしてないよと笑ってバンブルビーは立ち去った。
暫くの沈黙ののち、声が掛けられた。
「ごめん。ディーノは何の話だったか分からないままだったね」
「あ…オレも怒鳴っちまったし、な」
お互い様だと照れたように電子音を漏らすとノエルがクスクスと笑う。
二人は無言で寄り添っていた。
「結局なんだったんだ?」
「あー…ディーノがあまり構ってくれない上に人間の女と話していたのが気に食わなかったらしいよ」
寄り添う二人を壁の影から観察している二人、サイドスワイプとジャズ。
そんなものに巻き込まれたのかと肩を落とすサイドスワイプを慰めると響く怒声に飛び上がって目を合わせる。
「ディーノっ!!」
あぁ、やっぱりまた喧嘩始めたよ。
喧嘩したと思ったらイチャつき、さらに喧嘩をする。何ともはた迷惑なカップルだ。
後書き
ケンカップルでしたー。
夫婦喧嘩は犬も食わないらしいですよお二人さん(え
ディーノからバンブルビーへの態度がよく分からなかったので敬意を払っているのかそうでもないのかという事態に。
佐々木様、リクエストありがとうございました!
20120229
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