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その者はただじっと見ていた。
目の前に小さく蹲る存在を不思議そうに見ていた。
散々泣いたというのにまだ目から溢れる水は止まらない。
もう一時間程経つ。
無音でメルセデスが動き出した。





ノエルが泣いていたのは特に誰かが所有する空間というわけでもない。
あえて言うならば些かディセプティコンのスペースに近いということであろうか。
本当にいささか、なのだ。

そこにメルセデスがあるなんて気付いていなく、衝動のままに泣きわめく。
一体どれくらい経ったのだろうかと考えて仕舞うほどだ。
ポン、と頭に何かが置かれる。
何度か戸惑ったように弱めたり強めたりしながらそれは繰り返される。止まった頃顔を上げると、乗せられていたのは人の手だと判明した。
近すぎて視界が全て白と青に染まっているので誰だか分からない。見上げても逆光だ。
目を凝らし、顔を見ようとするとその人物の手で目を塞がれる。壊れ物を扱うかのようなおずおずとして優しいソレ。
直後抱き寄せられ甘やかすように背中を撫でられると、人の温もりに安心してかまた目が潤う。
抱き寄せる人の腰に腕を回しううう、とうめき声を上げた。


「   が、好きなの」

「………」


そうか、と相槌を打つようにまだ頭に置かれていた手が跳ねる。
ノエルは不審に思うことすら出来ない状態だ。


「でも   は私を見てくれないの」


はらはらと涙を零すノエルを抱きしめる力が強まった。

何時しか寝てしまったノエルを抱き上げ彼女の部屋に連れていき、白と青の影が顔を上げるとその赤い目に不穏な色を宿らせていた。
翌日、NESTから隊員が一人、姿を消した。
ノエルは暫く寂しそうにしていたものの、そっと寄り添うように傍にいてくれるサウンドウェーブにより着実にその傷を癒してゆく。
オートボットはディセプティコンであるサウンドウェーブと人間の恋を熱烈に歓迎し、遂には付き合い始める。
笑ったのは誰だろうか。





後書き
…あれ?
ほのぼの切ない片思いになるはずだったのに何か違う…。
という訳でこんにちは、かぴばらです。
擬人化サウンドウェーブとのことでした。(作中で明言していませんが)
力加減が分からない辺りに不器用さと萌えを詰め込んだ筈が不穏なことに…!
木立かみつれの花言葉、心に秘めた愛だったんですけど。
抱きしめて慰めて終わる筈だったんですけど。
情報参謀勘弁して下さいorz

こんなんじゃねーよ!となったら是非お知らせ下さい書き直します!
それではリクエストありがとうございました!

20120226

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