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「で、」


また来たの。
また来たぜ。
飄々と返すオンスロートに眩暈がした。こいつは何故我が家に来るんだ。


「トール、泥が跳ねちまったんだ。洗え」

「命令口調で頼むひとって最低だと思うんだ。逆らいたくならない?」

「あ?コンナトコロにデストロン製の恐ろしい武器が転がってるな…人間なんか一発で蒸発しそうだぜ」

「私の全身全霊を以て務めさせて頂きます!」


はたから見ると間の抜けた、本人からすれば極真面目なやり取りである。
結局トールが折れて洗車する羽目になった。
彼女曰く、たかだか洗車しない程度で命を落とすんだったら妙なプライドを捨てる、とのこと。

涼しげな水音と共に軽い土埃が落とされていく。洗われる本人はそれを楽しんでいた。
先日は単に拭き取りしかされなかったが、こうしてさっぱりするのも良いものだ。
水をかけ終わり、トールはスポンジを構える。既に衣装は汚れて構わないものに替わっていた。泡だらけになるのも辞さない勢い、むしろやけっぱちな勢いだ。身を乗り出して擦る。
オンスロートは狙い通りの展開になってきたとほくそ笑む。彼の目的は洗われる事だけではない。もう一つ、トールとの接触もあったのだ。
へたれなどとは思ってもけしてオンスロートに言ってはいけない。オンスロートもこれでも本気なのだ。
ちらりと見上げるとトールの面倒そうな顔。それもまた乙なものだとオンスロートは満足感を得ていた。
近くをコンドルが飛び回っているのにすら気付かず。とはいっても気付いたってオンスロートは気にしないだろう。寧ろデストロンに映像が送られたら、仲間は自分を羨ましいと感じるだろうと予想していた。
何せデストロンの連中は洗われた事がないのだ。汚れてしまっても他者の手を借りることを厭うので自らの手が届く範囲しか触れない。


「あ、」

「トール?」

「オンスロートさんちょっとごめん。乗るね」


ふとトールから声が上がった。どうやら前後左右何処からも届かない位置があったようだ。オンスロートに一言言うと身を乗り出してそこへ手を伸ばしている。
一方オンスロートは歓喜していた。尤も表面には出ないが。
トールの、トランスフォーマーにはない柔らかな身体が押し付けられているという事実。トールにはそんな意識はないがオンスロート的には問題無し。

そんなこんなで洗い終わり。
ワックスまで使用して磨かれたボディに(そしてトールとの接触に)満足したオンスロートはロボットモードに変形。


「今度はこっちの姿で洗ってもらうか」

「流石にそれは終わる前にサイバトロンに気付かれると思います!」

「そんなん来ても、やっちまえば問題ないな」


トールの前で作っていた冷静キャラが少しずつ剥がれていくのにも自覚がない様子で歓談。


「さてと、お嬢さん?」

「お、お嬢さんって…」

「こんなにしっかり洗って貰ったんだから礼をしなきゃなんねぇな」

「結構です!」

「問答無用。何てったってデストロンだからな。たまには変わった乗り物も良いもんさ」


あくどい顔でトールを誘拐していく。
何だかんだでトールもほだされてきていた。





20110811

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