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サイバトロン星のディセプティコンの拠点。周りでは激しい交戦があったのか、荒れ果てた地。敵味方入り混じって動かないボディが放置される。
そこにトールは幽閉されていた。
訪れるのはただ一人。それも頻繁ではない。
孤独な空間の中でもトールは気丈に耐えていた。

四、五回目だろうか。今までサウンドウェーブが何度問おうともトールは何も喋らない。
そんな展開に嫌気がさしたのか彼がいつもと違う行動を起こした。
目の前にソレを放り投げられる。どこか見覚えのあるソレに仲間達が浮かぶ。無事だろうか。
何だ、という目でトールがサウンドウェーブを見遣る。だが彼は何も言わず戻っていった。
投げられたのは腕だった。


「はは…遂に理解出来ない行動を起こすか…。こんなもの、私が怖がるとでも思っていたのか?」


静かな空間にトールの声が響く。久しぶりに声を出した。
勿論返事などない。
虚しくなって口を閉じた。





次サウンドウェーブが訪れたとき、奴はまた何も言わず何かを牢の中に投げ込んだ。前回の腕はもう錆び付いて原形を留めていない。
今度は足だった。
黙り込んでいると数秒トールに目を遣って反応が無いことを確認する。
見返すとサウンドウェーブが笑った気がする。
反転して牢を去った。
トールは何も言わなかった。





次はまた腕だった。以前とは逆側の腕のようだ。
流石に複雑だと顔を顰める。サウンドウェーブはそこを突いて話すこともせず無言で帰った。
エネルゴンの通わない状態で長い間放置された腕と足は既に朽ちている。





サウンドウェーブが体の一部を持ち込むようになってから四度目。
予想通りに足を持ち込んできた。
保存状態がしっかりとされている。
前回持ち込まれた腕と見比べると、やはりディセプティコンの敵であるオートボットが浮かぶ。
もしや仲間の誰かが毎度犠牲にされているのか。
不安がるトールを見てもやはりサウンドウェーブは話さなかった。





次は胴体だった。
完全にしっかりとした保存がされている。この様子なら次サウンドウェーブが来た時でも残っていそうだ。
胴体と向き合うトールを見て、無言だがサウンドウェーブは確かに笑っている。
調べておけ、と胴体ど真ん中に書かれている。これは恐らくサウンドウェーブが次来るまでということだろう。
上等だ。
機能を忘れたのかというくらい久しぶりに声を出し、解析に取り掛かる。
そしてそれが己の良く知る者の体だと気づいてしまった。





再びサウンドウェーブが訪れたのはそう遅くなかった。
トールを見ると、胴体の傍で震えている。
近づくと叫んで二人の間にある柵へと掴み掛かる。そのボディにエネルギー残量が少なく、ろくな力すら出やしないことを彼は知っている。


「ど、いうことだ…!何なんだアレは!」


悲痛な表情を浮かべる彼女にサウンドウェーブはそっと手に持っていた小さなソレを渡す。
反射的に受け取ったトールは声にならない原始的な電子音を上げる。
頭部だ。
耐え切れず、受け取った頭を抱えてトールが座りこむ。


「やっとご対面だな。そいつも久しぶりに自分の体に逢えて嬉しそうだ」


いちいち間隔を空けるのは面倒だったし、トールに会えず寂しかった。
冷たく通る声が牢に響く。
今までサウンドウェーブが持ち込んだ体は一体のトランスフォーマーがバラバラに分解されたものだった。生きている内にバラされたのか顔は苦悶に満ちている。
彼はトールと密接な関係にあった。


「恋人同士の感動の再会だ。もっと嬉しそうにしたらどうだ」

「っ…!」


牢を開けて中に入り込んだサウンドウェーブがしゃがんで無理矢理トールの顎を掴み目を合わせる。
トールはそいつの名を呼んでいた。


「可哀相に…腕を見ても気づいて貰えなかったが為にこんな姿にされてしまった」

「! まさ、か…生きたまま、徐々に解体していったのか!?」


正解だ、と笑い声を上げるとトールが絶望の顔を見せる。トールがすぐに気づいていたら彼は生き延びたのかもしれないという可能性を見つけたのだ。最も残忍なディセプティコンが利用価値のないオートボットを生かしておくとも思えないが。


「さて…次は誰にしよう。上司か?部下か?…当ててみろ」

「止めてくれ!! 情報は、話すから…!」


遂にトールは自分を強情に気丈に保った理由、軍の情報を漏らそうとする。
しかしサウンドウェーブはそれを制止した。


「そんな古い情報は要らない。トールの愛しの彼がじっくり語ってくれた」


目眩がした。では一体自分は何の為に耐えたのか。


「嘘だ…!」

「嘘かもしれないし本当かもしれない。だがどちらにせよこのゲームは続く」


貴様が死ぬまでな。
甘い声でサウンドウェーブは囁いた。





後書き
フラゴラ様に捧げる相互記念、鬼畜音波です。
凄く…駄文です…返品交換可能です!
長い上にこんな内容で申し訳ないです。ちょっと調子に乗ってしまいました←
捕虜で弄ぶ音波…最低だ(^O^)/
こんな彼がやっぱり大好きです…w

20110823

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