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サム・ウィトウィッキーが見かけたのは随分と怪しい場面だった。
歩く女性の隣にその車は張り付いて1メートルたりとも距離を開けようとしない。明らかにストーカーだ。
そしてその車はパトカーでもあった。
何事か話しているようだがつれない反応にやきもきしたか、抑えきれずパトカーの右の扉が開き白い腕が飛び出して彼女の左手首を掴んで車内へと引きずり込もうとする。
そんなシーンを見てもサムが助けようと動かないのはその地が軍基地であったからか、そのパトカーを知っていたからか。はたまた触らぬ神に祟りなしという考えだったのかもしれない。
車内へと引き込もうとした小柄なトランスフォーマーことフレンジーは強烈な蹴りを顎に顎に食らい、頭を吹っ飛ばしていた。





そして自宅へと帰る間際にも、手足問わず全身を金属の触手に囚われたトールが苛立ちを隠さずもがいている姿を見る。
メルセデス・ベンツといったら奴しか居ない。
大きく遠回りになるにも関わらず迷わずUターンを決めた。

聞こえないぞ、粘着質なストーカー野郎の猫なで声なんて。


「どうやら無理矢理が好みのようだな」

「いや無理矢理なんて逆にどうやらせるのか気になるレベルだけどやっぱりいいです、結構なので離して下さいな」

「お前の脳に直接アクセスしこちらから電気信号を流すことで望みの行動をとらせる」

「私を殺す気だったわけですか」

「ものは試しだ」

「アンタかなり適当なこと言ってるんだな!?」


聞こえないぞ、もう少しで我が友が危ないことになったかもしれない会話なんて。
あーもうバンブルビーに乗っけて貰えばよかったー!

サムの精神に傷を付けたことにはついぞ気付かないふたりであった。
口論はこれからも続いたが最終的にトールの脳にアクセスはなかったとだけ報告する。





「で、トールは何をそんなに絡まれてたんだよ?」

「あー……下らない話ですよ」


後日レノックスとトールの会話に聞き耳を立てるサム。そこで彼はトランスフォーマー達の意外な面を知る。


「ハジメテをくれってだけの話です。運転の…ね。私まだ免許取ってないですし、友人達を運転するってのもなんか違和感あるんで断ってただけですよ」


何だよあいつらトールの初運転が欲しかっただけかよ!!

オートボットとの和やかな会話ばかり見掛けたレノックスとは違い、ディセプティコンとトールのシーンばかり見てしまったサムは理不尽な怒りを向ける矛先が見つからなかったという。










後書き
終わりは汚いですが、終わらせる事が重要なのです、なんて言ってみたり。
免許取ってからという考えならオプティマスが願いを叶えるのは厳しそうですね。

160601

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