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「レーザービーク───皆殺しにしろ」


メガトロンの指示でサウンドウェーブはレーザービークに命を下す。
下卑た声そして表情で鳥型のトランスフォーマーは飛び去った。
無表情に且つ愉しそうな彼の様子をみて目を臥せる。
ああ憐れな人間達よ。あの日悪の下に平伏した事を後悔するのだろう。


「トール。何を思っている」

「…それは、聞かなくても分かっているだろう?」


サウンドウェーブはマスクの奥でくぐもった笑い声を立てた。
赤い眼が愉悦を映す。


「貴様の愚かな考えなど聞かずとも理解出来る。虫けら共に同情しているのだろう」


嫌らしい聞き方をしてくる奴だ。


「ならば聞くな」


冷たく言い放つも微塵も気にした様子はない。


「悔しいか。俺が憎いか。恨めしく思っているのか」


サウンドウェーブが話す度にスパークがざわめく。
ああこいつを引き裂いてやりたい。
殺された仲間の痛みを思い知らせてやりたい。


「…憎い」

「愚鈍なオートボットめ。捕われた身分でそんな口を利くとはな」

「っつ、」


重い音を立て、肩に衝撃が走る。
…お前が聞いたくせに。
憎悪を篭めて睨み上げるともう一撃。


「自称正義のミカタがそんな憎しみを見せて良いのか?そんな眼で誰かを助けられるとでも?」

「、あ」


手が震える。
奴の言葉で己の姿を見つめなおすと、そこには怨み辛みに捕われ正義を持たず本能に従う…そうディセプティコンの様な自分がいた。

口をつぐむと面白くないといわんばかりの顔でサウンドウェーブが更に詰る。
しかし沈黙を貫いた。

暫く膠着が続いたがやがてつまらないと吐き捨て、サウンドウェーブが言葉を止める。
表面に出さず安堵の溜め息を吐く。
無視しようにも彼の指摘は的確でいちいち胸の奥を突いてきていたからだ。
が、それも束の間の休息であった。
腹部に衝撃。
予想外な攻撃に思わず悲鳴が上がった。

メガトロンとスタースクリームがこちらに目をやった。
しかし連続した蹴りと悲鳴を抑える事で手一杯なトールは気付かない。
破壊大帝は興味なさ気に視線を広大な砂漠へ移し、スタースクリームは愉快そうに見続けていた。
だがサウンドウェーブはどちらも気にしない。
彼の現在の行動は、遊戯を大帝に献上することを目的としているのではないからだ。


「我慢せず声を出せ。思う存分に悲鳴を上げろ。それこそが俺の最高の音楽だ」


地を這うトールに冷酷に告げる。


「っれ、が、っ!!」


一撃。


「抗うな。貴様の悲鳴は他のオートボットよりも、虫けら共よりも心地好い」

「っぐ、うぅ…っ」

「トール。お前を殺すのはこの俺だ。いつかの日まで楽しませろ」


意識を失う最後にこんな言葉が聞こえた。


「トールこそ俺の求めていた音だ」





20110730

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