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オートボットは上からジャズ、ディーノ、サイドスワイプ、オプティマスの順です。
続いてディセプティコンは、ブラックアウト、ショックウェーブ、スタースクリーム、バリケード、メガトロン様、サウンドウェーブの順。




















両手で機材を抱え持つトールを発見し、ジャズは少し思考した後、ゆったりとした足取りで彼女に近寄り声を掛けた。


「トールー」

「副官…今忙しいんですけど、」


背後から呼ばれてトールが振り返ると目の前いっぱいにジャズの姿が映り、状況の判断に限界を迎えた機能が停止した。
数秒後顔が離れてもトールは動かなく、そんな恋人を見てジャズが不敵に微笑む。


「不意打ちゲットだ…愛してるぜ」


もう一度唇を重ね、硬直した手から荷物を奪うと軽やかなステップで移動を始め、曲がり角に姿を消す。
トールのシャットダウンしていた意識が回復するのは、機材を何処に運べばいいのか分からないジャズから救助の依頼が来てからだった。





さりげなく唇に (愛情)










ああもううっとおしいな、とトールは叫び、横からちょっかいを出してくる赤い手を叩き落とした。


「ってーなぁ、気が強い女はモテねえぜ?」


「別に、アンタだけにモテれば…」

「ん? 何か言ったか?」

「…なんでもない!」


きつくディーノを睨みふんと鼻を鳴らしてまた歩みを再開しようとしたが、ディーノがニヤニヤ笑いながらトールを腕の中に閉じ込めた。


「で、何だって?」

「うーるーさーいー! 離してよちょっと!」

「冷えなぁ、オレはこんなに愛情表現してるってのにさあ」


トールの肩に頭を埋めてくすんくすんと泣き真似をするディーノ。
不意にトールの手がディーノを肩に押し付けた。
赤い顔で耳元に囁く。


「す…好きだよ…、」


ボソボソした声が届いた瞬間ディーノは頭を抑える手を外させて破顔一笑。衝動のままに鼻梁に口付けを落とす。


「かっわいいな!」

「…ディーノのアホー!」


トールの鋭い一撃は見事ディーノの顎を突き上げ、よろめいた隙に手をすり抜けて罵詈雑言を吐き捨て逃げるように駆け出す恋人の後ろ姿にディーノは手を伸ばした。


「全く…Che carina!」





すかさず鼻梁に (愛玩)(なんて可愛いの!)











見回りと称してトールを引き摺り出し幾星霜…とまではいかないものの、既に三時間近く経つ。
流石のトールも恋人の謎の行動に対し思うところが出て、二人は無言で走っていた。
やがて目的地に辿り着いたのかゆっくりとブレーキをかけ、変形してトールに笑い掛けた。


「…全く」


この能天気な笑顔を見るとつい色んな事を許してしまう。甘やかしてしまう悪い癖だ、と心の中で呟きながらトールも変形し、目の前の景色に息を飲んだ。


「この間、一人で走ってるとき発見したんだよ。トールにも見せたくってよ」

「うん…綺麗だ…」


雄大な景色を見つめてポロリと零れた感想にサイドスワイプが満足気に頷く。


「オレもそんな感想しか出なかったな…ディーノの奴は何か色々言ってたけどよ」


聞こえた名前にトールはふと疑問を憶えてサイドスワイプに向き直る。


「…ディーノ?」

「あ」

「へえ…まさか私を差し置いて先にディーノと来るとはね…本命は彼だったのかぁ」


悲しげな表情で首を左右に振ればサイドスワイプが焦って、


「違、ディーノが此処を見つけただけで…あああ言っちまった!!」


と自らボロを出す。単純過ぎる彼に大声を上げて笑ってしまったトールだったが、サイドスワイプが自分の顔を見つめている事に気が付いて恥ずかしそうに咳払いをする。
何よ、と尋ねた。


「いや、」


すいっとトールに近付いて手を取りサイドスワイプはくっと口角を上げた。


「きれいだなって、思ってさ」


そして持っていたトールの手首に口付けるとパッと手を離し踵を返して帰るか、と大きな声で言った。
うん、と返して基地へと帰還する。


「(手首への口付けは、欲望………まさか、ね)」





思わず手首に (欲望)










野原の中に倒れている恋人を見つけ、オプティマスは頭を駆け巡る様々な予想を振り払いトールに触れた。
単に暖かな陽射しに眠気が差してスリープモードに入ってしまっただけらしい。安堵に胸を撫で下ろすと、このまますんなり側を離れるのも癪に障るとオプティマスはトールの隣に腰を下ろす。


「…生きている」


トールのボディに触れて穏やかに流動するエネルギーの音を聞くと、不思議と今まで感じていた疲れが吹き飛んでしまう。
トールの腕を手にとって触れるだけのキスをした。
そして一人で何をしているんだか、と照れながら身体を離し、手が届くか届かないかの距離に横たわる。
輝く太陽がオプティマスとトールのボディを熱くしてやろうと照っているのに風は涼しげ、木は二人を覆い隠す。
冷たい空気に季節の移り変わりを感じながらオプティマスは静かに目を閉じた。

入れ替わりにトールは目を開け、揺らがない一定の音に、確かにオプティマスが眠りに着いたことを確認した。


「たまには…二人で寝るのも悪くないよねぇ…」


静かに空いた空間を詰めてオプティマスの片腕に抱きつき、再び微睡みに身を委ねることにする。





迷わず腕に (恋慕)





唐突に、向かい合う形で膝の上に乗せられたトールは不満だったが言えなかった。それはトールがひかえめという事もあるし、ブラックアウトが嬉しそうにトールを抱いていたからでもある…仕事をしつつ。


「あの…ブラックアウト」

「何だ?」

「…や、なんでもない」


さっきからこの不毛なやり取りばかり繰り返すがブラックアウトは彼女の様子を察する事もなく胸の辺りに再度トールの頭を抱え込み、仕事と睨み合う。


「ブラックアウトって意外と…」

「何だ」

「い、意外と公私混同するんだね」

「一挙両得だ。無駄がないだろう?」


ふふんと自慢げな言い方に何も言い返せずトールは苦笑いしながら待つ事とする。
されど待てども待てどもなかなかブラックアウトは画面から目を外さない。寂しいよ、と言う代わりにトールは彼の腰に腕を回して緩く抱き締め。そして様子の変わったブラックアウトを訝しげに見上げた。


「トール、」


不意にブラックアウトはトールの脇に手を差し込む形で体を持ち上げた。


「た、高い!」

「少し待ってろ」


目の高さまで上がった、細く頼りない恋人の喉元に口付けて隣にポイと降ろす。急激に変わった状況に目を白黒させながらトールはブラックアウトを見上げた。


「嘘…あんなに仕事を雑にこなすブラックアウトなんてブラックアウトじゃない」


後にトールはそう語ったという。





あとで仕事やり直す羽目になった。(欲求)










診察台に寝転がり患部である脚を晒してもショックウェーブは私情を挟まず丁寧に部品を取り替え溶接した。
だがその心情は外見から想像出来ない。
彼が何を考えているのか恋人であるトールにさえ分からない。無言で傷口を撫でるショックウェーブを窺うが、ちらりとトールに一瞬視線をやっただけだ。
上半身を起こしてトールが控えめに言う。


「ショックウェーブ…ごめんなさい」

「立場を見直せ」

「あ…申し訳あり、」

「聞こえん」

「は、はい。申し訳ありませんでした」

「その言葉の意味は理解出来ないがな」


ショックウェーブは仕事中は冷たい。俯いてトールが細い声で謝ろうと決して妥協しない。


「上司の手を煩わせて仕舞いました…」


しょんぼりと言うトールの怪我の理由はその体躯。大型なショックウェーブと並んでも遜色ないほど女性型として大きなトールだったが反面、その性格はとても大人しく、自然と攻撃を受ける対象となる。
此処で初めてショックウェーブの感情が見えた。


「…お前の体に傷を付けて良いのは私だけだ」


単眼の光が獰猛な獣のそれに変化し、呆気に取られたトールの状態を押し倒し、腰を掴んで顔を寄せる。


「忘れるな」


その言葉だけ残してまた唐突に離れるショックウェーブは既に落ち着き払った科学者のものだった。





傷付けられる事は許さない。(束縛)










「おいトール! 例の件の報告はまだないぞ!」

「他の方に言って下さい…」

「最奥にある鉱石を今すぐ持ってこい!」

「嫌…あ、了解」

「だーかーらー、報告が遅いぞ!!」

「で、でも…」


ネメシスで毎回繰り返されるこのやり取りにボーンクラッシャーは呆れブロウルは眈々と遠巻きにしている。


「あいつらまたやってんぜ」

「騒がしいな…破壊してやりたい」

「さーんせーェ。マジうるせぇ」

「そうか?」

「ブロウルおまえさっき…ま、いいか」

「分からん奴だ」

「おまえがな。…それにしてもトールの奴…あ、お仕置き部屋に連れてかれた」

「野蛮なスタースクリームめ混ぜろ」

「そーいう感情合ったん? ま、そんな事も何にもしてねーぜ、音が聞こえねーもん」

「なるほど、残念だ」


ずるずる引き摺られるトールに助け舟を出すわけもなく、二人の会話は陽気に続く。
一方トールはお仕置き部屋ことスタースクリームの個室で、自分を押し倒して腿に顔を寄せる恋人を半泣きで撃退している。


「むり、ほんとむり」

「っそろそろ覚悟を決めろと言ってるだろう!」

「やだぁ!」


今日もこの恋人達は一線を越える為に日々スキンシップをとっている…つもりらしい。
泣いてしまうトールに舌打ちしてスタースクリームは内心泣き叫びたい気持ちでいっぱいだった。





一線越えるのは貴女次第。(支配)










エネルゴンを加工して作った、人間でいう酒を抱えたトールはご満悦で恋人に、飲まないかと声を掛けた。無論返事は了承である。


「んー、美味! スタースクリームの奴がコソコソ隠してる訳だ!」

「なんだよあの自称ニューリーダーめ。こんなうまいモン独り占めしようとしてたのかよ」


人目につかないようしゃがんで二人笑いながら盃を交わす。からから笑うトールは勿論バリケードですら上機嫌が見て取れるのはエネルゴン酒と一緒に恋人も頂く予定だからか。


「一人で呑む用に部屋に抱え込んでた。いやああんまり美味しそうだったからバリケードと呑みたくなっちゃってね」


トールの言葉にバリケードの目が怪しく光る。


「へえ? そうかそんなに俺と一緒に呑みたかったのか?」

「当然さ。美味な物を恋人と分かち合えば更に美味に感じられるだろうと、ね!」


照れるトールが見たかったというのに、陽気な返答にバリケードはガックリと肩を落として作戦の変更を決めた。
頻繁に注がれるエネルゴン酒を疑うこともなく礼を言ってトールは飲み干す。お礼にとバリケードにも注いだのは想定外だった。


「ん? ちょっとバリケード、落としたぞ」


結構な量が減ってきたある時、不意にバリケードの手から盃が前方に転がるが取りに行こうともしないので代わりにトールが手を伸ばす。


「なぁトール…」


背中を見せたトールに覆い被さり酒に掠れた声をトールの耳元で囁き、そこへキスを落とす。
動揺に手が震え、再び盃は地で踊る。


「お前…」

「な、なに!?」


焦ったトールはバリケードの顔を見ようと体を捻った。瞬間。


「蟒蛇か、よ…」


ぐしゃりとバリケードはトールに倒れ込んだ。とっくに限界を超えていたらしい。


「う、蟒蛇…」


この後起きたバリケードは身に覚えのない説教を食らう羽目となる。





体が持ちませんでした。(誘惑)











「褒美に…トール。お前をこの俺の側付きに任命してやろう」

「は! 光栄に御座います、メガトロン様!」


そんな会話をついこの間(といってもトランスフォーマーのこの間なんてどれ程のものだろうか)してメガトロンは思い通りにいかないと深い溜め息を吐いた。
何事でしょうかとトールが側で尋ねるも、放っとけと乱暴に言われては素直に引き下がるしかない。
そうじゃないとメガトロンはまた溜め息を吐いた。
そうじゃないのだ。


「メガトロン様…?」


再度聞こえた溜め息についトールは再び声を掛ける。ついに耐え切れずメガトロンの我慢は決壊した。


「何故だ」


低い唸り声にトールが瞬く。


「何故貴様は俺の物だという自覚がない!」


叫ぶようにしてトールの腰を捉えて胸の中央のパーツに噛み付く。痛みよりも驚きでトールの表情が固まった。


「許可なく俺以外の奴を見るな、話すな、会うな」

「メガトロン様…」

「俺の物が俺以外と関わるとは何事だ!」


ギラギラ嫉妬に濡れた赤い目と正面から向き直り、


「メガトロン様…無理です」


と、何の躊躇いもなく告げる。二組の赤い目が正面からぶつかり合う。


「私の役目はメガトロン様の補助。どうして他人と関わらずにいられましょうか。たとえメガトロン様自身が命じようとそれが助けになるなら躊躇いなど存在しません」


「なら…俺の利益になることならいいんだな?」


複雑そうに聞いていたメガトロンが歯を剥き出しにして笑った。そしてトールの手を取り、


「あ、すいませんがこの後フォールン様と別件があるので」


つれなく振られた。
失礼しましたと退室するトールを最早呆れて見送る。


「生真面目も困ったものだ…」


だがあの言葉は嬉しかったようで、サンドバッグ役のスタースクリームはこの日珍しく無傷だったという。





主だけど絶対じゃなかった。(所有)










真面目と真面目。この組み合わせなら何ら問題もないだろうと高を括っていたが、どうやら相手の性格を読み間違えてしまったらしい。
現に今、真面目だと思っていた相手が首筋に噛り付いている。


「った、」


動いた拍子に傷にびりりとした痛みが走りつい声を出してしまうと、サウンドウェーブは首から離れずにくぐもった笑い声を上げた。
嬉しそうで何より。だが時と場合を考えて欲しい。
部屋の扉にはそう簡単に解けないようサウンドウェーブ自らプログラムしたロックが掛けられ、どんどんと扉を殴る蹴る音が広い部屋に響く。


「でて…い……ェーブ!」


ヒステリーを起こして甲高い声で喚いているのはスタースクリーム、そしてこの部屋の主もスタースクリーム。
しかしサウンドウェーブは悪びれる様子もなく余裕綽々の様子でトールに食らいついている。


「ああもう…この部屋二度と来れない…」

「俺からもそれを勧めておく」


サウンドウェーブからやめる様子は見受けられなかったので、諦めて流れに身を委ねる事にするトールであった。





勘繰るがいい。(執着)










後書き
リーリオ様、リクエストありがとうございました!
遅くなりましたが23000のリクエスト品です。煮るも焼くもご自由にどうぞ!
どうしてもワンパターンに成りがちでしたがオプティマスとブラックアウトは書いてて楽しかったですね(^^)
これからも当サイトをよろしくお願いします!

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