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「トール、」


好きなんだ。





己は決して善人にはなりきれない。
でもこの仕打ちは無いんじゃないか、神様。

トールは虚ろな目で目の前のモノを見上げる。
黒い。でかい。
そしてその隣を見る。
黒い。そこそこ。
最後に自分の隣。
白い。ちっちゃい。


「オイコラトール。失礼なコト考えてたダロ」


そして甲高い。


「トール!」

「聞いてるよ…」

「ダッタラ返事をシロ!」


喚き立てる白を無視してクルリと踵を返す。
此処に居てはいけないと、己のどこかにある警鐘が聞こえたのだ。
彼女は迷うことなく従う。


「トール。何処へ行く?」

「…部屋ですけど」


でかいのが聞いてきた。
赤い眼…カメラアイがニ対トールに向いた。
これはまずい。
何か言われる前に、とトールが逃げ出そうとした瞬間。


「人間」


逃げるのか。この俺から。


「っ、バリケード…」


目をでかいのの隣へずらす。
静かにトールを見る目は笑ってはいない。
寧ろ暗い色を見せていた。

この目。
これが私を金縛りにかけるのだ。

かつてトールを散々いたぶったバリケードは軍が和解してからも尚執拗にに絡んでくる。
恐怖を刻まれたトールはどうする事も出来ず、バリケードの一方的な攻撃を受けていた。
相談しようにもオートボットの司令官などといった大層な人物とは会話処かその姿を見ることすら出来ていない。
否、例え話せたとしても彼女は復讐を恐れて言わなかっただろう。


「…おい、バリケード。そいつらは余りにも弱い。下手な扱いをするな」

「ブラックアウト貴様こんな生物を庇うのか?」


でかいの…ブラックアウトが意外な事を言った。
それに不快げなオーラを出して答えたバリケード。
恐る恐る視線を上げるトール。
だが。


「こんなものの為に言っているのではない。我等が大帝が望まれたのだ。それに従うのは当然のこと」


冷たくもないが暖かくもない、そんな言葉が聞こえた。
興味すら無い態度なのだ、ブラックアウトは。
上げた顔をさっと下げたトール。


「フン。テメェは相変わらずだな」

「お前に言われたくもない」


ぎらぎらした雰囲気が流れた。
…暫くしてバリケードが、


「興が失せた」


と吐き捨て、去った。
待てヨ、と白いのがその後を追う。
この場合お礼を言うべきなのだろうか。
息をついてブラックアウトを見遣ると、彼はその巨体を変形させていた。


「…助けて頂き、ありがとうございます」

「………別に、助けたのではない」

「流石にこう、何度も連れてかれるのをとめて貰えたら気付きますよ。…何故です?」

「それは、」


突然ヘリの羽根が回り、轟音が鳴り響く。
吹き荒れる風に遮られ、彼が何と言ったのかトールは聞けなかった。

空は暗さを潜めて明けてきた。
夜明けの空に見えるのはブラックアウトの影のみ。
トールはじっと、期待するような目を向けていた。





後書き
今日…公開初日にTF3を見てきたかぴばらです!
これよりもウェーブ達が書きたくなった…w
初作品なのに暗いです…。
そしてフレンジー影薄すぎた!

20110729

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