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監禁されてからどれ程の時間が過ぎたのだろう。
部屋に時計は無く不定期に置かれる食事からも推測することは出来ない。
扉には鍵が掛けられていない。しかしその戸に手を掛け、外へ逃げ出したとしても無駄だ。此処に人など住んで居ない。かつて逃げ出したとき助けを求めたが人などおらず、現れたサウンドウェーブにトールは逃げられない事を悟った。
外に出ても戻されるか飢え死にか。そう悟ってしまう程にトールは飢餓を味わった。
「扉を開けているのに出ないという事は、これは監禁ではなく合意の下ということだ」
サウンドウェーブはいつも嬉しそうにこう言う。
狂ってる、と刃向かえばその時は酷く扱われる。
だがうん、と同意すれば途端に機嫌を良くし優しくしてもらえると気付いてからはトールは抗うことを止めた。
痛いのは嫌だ。
彼の行為を何であろうと拒絶すれば食事は出なくなる。そして飢えに苦しんでいるところへ再び現れ拒絶された行為をもう一度繰り返す。ソレを拒否しなければまた食事は出されるようになった。
死ぬのは嫌だ。
サウンドウェーブは目隠しをしたトールの世話をすることを好んだ。
光を奪われ頼れるのがサウンドウェーブしかいないと縋り付くトールを抱きしめくつくつと笑うサウンドウェーブは悪魔のようだ。
「綺麗に残ったな」
「…そう…だね」
睦言に囁きサウンドウェーブはトールの足の内側をなぞる。そこには母星の言語で彼の名前が刻まれていた。
「この跡を消すには…上から更に大きな跡を残すしかない」
指で己の名を辿り満足げにサウンドウェーブが告げる。ぼんやりと見ていると目が合った。無意識の内にトールの口が動く。
「消さないよ」
「そうか」
時折彼は無意識か意識してか酷く傷付いた表情でトールを見る。その度にトールは得も知れぬ暗い喜びが起こると自覚していた。
「また来る」
そう行って部屋を出るサウンドウェーブを無言で見送る。
その想いは真か偽りか。トールには分からなかった。
後書き
ストックホルムじゃね?なんて思いながら書いてました私です。
あんまり鬼畜要素が出せなかった…いやでも根底に愛があると自覚してるパターンの音波なのでいいやと思ってます。
自覚してない場合は他の話のように容赦がないですよ、ハイ。そっちだと死んだらやだなー程度にしか考えてません。
体に名前や印を刻みつける行動が好きです←
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