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何度言ったことか。
サウンドウェーブは声に出さず考えた。何度言っても聞く耳を持たないトールは理解出来ない。


「俺の下へ降れ」

「イ・ヤ・で・す!」

「苦労はさせないつもりだが」

「そっそういうのじゃ無くってですね!? …ああもう人間の姿になってるなら思考回路も人間製にしといて下さいよ!」

「…しているぞ?」


何故、彼女は応じないのだろうか。
地球を破壊するディセプティコンとオートボット側の人間という関係が俺達を妨げると考え裏から手を回し両軍を和解させた。トールは会話してくれるようになったがやはり了承しない。
機械の姿が嫌なのかと考えヒューマンモードを搭載し、人間の大半が弱いという耳元で囁き誘ってみたが顔の表面温度を上昇させるだけで何事かを喚き逃げられた。
やはりディセプティコンの評判が悪いままなのが駄目だろうと思い彼女と友好関係のある人間共と比較的に親人派だと思われるディセプティコン数体の仲を取り持ち、そして俺自身も挨拶等というモノを普段から話しかけてくる人間共にしてやった。トールは微笑んでくれたもののまだ頷かない。
トランスフォーマーと人間という前例のない関係に尻込みしているのかと思いスタースクリームと適当な人間をそういう仲にしてみた。トールはスタースクリームらを祝いこそすれ積極的にならない。


「この結果は、貴様が招いた」


俺の下で目を白黒させるトールに囁いた。漸く状況を把握し体温を上昇させるとトールが震えるその可憐な唇を開く。


「まって、」

「俺は散々待った」


甘えを許さず言い放つとトールは信じられないとでも言うような顔をする。
そんなトールへの愛おしさと愉悦が沸き上がり低く笑う。そこだけ機械のソレに戻し鋭利な指で彼女の着ている軍服を引き裂いた。軍服を引き裂きトールは肌着の姿となる。
潰しはしないものの痛いと感じる程度に加減しながらトールの顎を捕らえ、羞恥に逸らされた目を合わせる。死と隣り合わせで生き延びる為に敵を削除してきたというのにトールの目は美しく汚れを知らぬ純潔を写し出す。


「お前は…醜いが故に美しい」

「いたいよさうんど、うぇーぶ…」

「最後だ。俺の下へ来い」


最終勧告を告げる。だがやはりトールは首をゆるゆると左右に振りや、と漏らした。


「そうか」


一瞬耐え切れない程の激情が体を巡るが、冷静になるとその返答は高ぶる俺にとって都合の良いものだ。
自然と口元が弧を描き、トールがその笑みに含まれた意味を悟る。そして何故か熱に浮されていた顔に恐怖を現した。恐怖を確認し満足した俺は掴んでいた己の手から電気を流し込み強制的に意識を落とさせる。
ぐったりと地に伏せるトールを抱き上げトールの部屋だった所を後にした。
言うことを聞かないならば力付くでモノにするまで。
誰にも気づかれないように既に監視カメラ等に細工もしてある。これより出会う運の悪い者達は全員不幸な事故で死んで貰う予定でもある。
やはり何度言っても聞く耳を持たないトールのことは理解出来ない。俺が目的の為なら手段を選ばないディセプティコンだということを忘れていたのだろうか。
そんな事を考えながらトールを連れ出し、監禁場所へと連れて行く。
トールは今日一人で外に出ている事にしてあり海に沈んだものとする。この計画は人間そしてオートボットは勿論ディセプティコンも知らない。ただ一人、俺に最も近いレーザービークはいずれ感づくだろう。だが俺を師と仰ぎ敬愛し恐れる賢いあのレーザービークのことだ、他人に話すようなメリットの存在せぬ馬鹿な真似はしない。
これからの日々を思うと、とても楽しみだ。





後書き
トールが好きだと自分から伝えていれば回避できた悲劇。サウンドウェーブが人間の告白を知っていたなら思いつかなかった手段。
音波さんの頑張り具合には書いててちょっとやり過ぎに思えました←
軍服破ったのは趣味(ry
あれです、ええっと、軍との別れを表すみたいな………?

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