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「サウンドウェーブ?」


音がなった扉へ目を向けると見知った無表情が顔を表す。
白と青を基調とした服装に真っ赤なバイザー。


「ああ…、サウンドウェーブ、来たのね」


彼は何も言わず、表情も伺わせずトールの傍へ来た。


「ねえ見て。鳥よ」


急に部屋に飛び込んできたの。脅えてたんだけど、落ち着いてきたみたい。
右腕にちょこんと乗った愛らしい鳥を、ゆっくりと体を動かし彼に見せる。
なあにこの人。そう言うかのように首を傾げて、やがて興味を失いトールの髪を鳥は啄む。
チチチと喉を鳴らす鳥の頭を撫でてやると気持ち良さげに目を細める、そんな姿を見てトールがふわりと笑った。
サウンドウェーブの存在も忘れて戯れていると、鳥は窓の方へ飛び立つ。


「あら帰るの、」


気をつけてね。
言葉も理解していないであろう鳥に優しく声をかけようとしたトールは息を呑んだ。窓の外に何かいる。


「駄目!!」


叫んでも時、既におそく。
ひらりと飛んだ可憐な小鳥は、凶悪なフォルムをした醜い巨大な鳥に捕えられる。そしていくばくか喚く様と悲痛な声を愉しんだ後躊躇なくその身を引き裂いた。
あああ、と引き攣った声を上げるトールにけたけた嗤い声を浴びせると窓辺に降り立ち残虐な生きたままの解体ショーを見せ付ける。
その光景と、グチャグチャと引き裂かれる肉の音たちに耐え切れず耳を塞いで顔を背けると容赦なく拘束する手が押さえ付けてきた。


「見ろ」


言葉少なくともそれだけでサウンドウェーブがどうしたいのか、トールには分かってしまう。

最早鳥とは呼べない位に刻まれたそれは、頭部のみ無事な形。とは言えその目は真っ先に抉られていた。ビクビク震え、鳴き声を上げる喉を潰された小鳥は何かいいたげに嘴を開き…そして何も伝えられずに生き地獄を終えた。
巨大な鳥が耳を劈くような奇声を上げると満足したように飛び去る。
小鳥は喰らわれる事もなく、只弄ばれ憐れな末路を辿っただけだった。


「トール。これはお前があんな物の為に心を砕いた為に起きた」

「う…ううう、」

「トールが部屋に入れなければ、このように無様な醜態を晒すことなく仲間と共に一生を終えた筈」

「そ、れは…、」


腕を拘束したまま、直接頭に入れるかのようにサウンドウェーブはトールの耳元で喋る。
トールからは見えないが、きっとその口元はやっぱり笑ってすらいないのだろうと思った。


「苦しかっただろうなぁ。あんなにイイ声を聞かせて」

「お前の仲間が、レーザービークがやったのよ!」

「最期のところなんて最高だった」


反論も聞かず、サウンドウェーブは独りよがりに先ほどの音声を再生する。
録音していたのか悪趣味野郎、罵ってやろうと思うのに凍りついたように喉が声を出さない。
唇を噛み締めながらただひたすら再生されるソレを聞いて、トールは悔しさと遣るせない思いに押し潰されそうになる。
最近何も動きを見せなかったからてっきり勘違いしていた。
やはり、悪は悪のままなのだ。
がくりと崩れ落ちるトールに満足してサウンドウェーブは扉へ向かう。
閉まる直前に声が聞こえた。


「赦さない…絶対に、この手でお前を殺す…!」


呵々と笑って応え、扉へロックをかけた。

やれるものならやってみるがいい。その時も一片の情無く冷酷に凄惨な事態を起こしてやるさ。トール、お前が逆らう気など無くす位にな。
次はオートボットの連中でも使ってやろうと思案を巡らせつつ、廊下を歩く。
小鳥を彼女の部屋に追いやり、全ての元凶だったレーザービークを褒めながら。





後書き
動物虐め反対!なーんて思いながら書いていました。
レーザービークが鳥を部屋に追い詰めたのは彼自身もトールさんの悲痛な顔が見たかったからです、なんて。サウンドウェーブはちょうどそれを利用したに過ぎません。
サウンドウェーブとレーザービークを嫌な奴らにし過ぎですかね?

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