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食堂からエリーが消えた後、そこは暫く落ち着きのない空間となっていた。


「ふーむ…これは一体どういうことかね」

「俺にも、サッパリ…」


ラチェットとレノックスが目を合わせ、肩を竦めると朝ご飯を食いっぱぐれたディセプティコンがコソコソやって来た。
メガトロンは居ないようだ。


「状況は聞いている。食べていいか」

「お、おお…どうぞ」


サウンドウェーブがしれっとした顔で聞くものだから普通に許可を出してしまった。いや、断る必要は別になかったからいいが。


「食事。エネルゴンと同じくエネルギー補給である」

「ショックウェーブ?」

「あの人間…エリーは食事という行為に随分執着を持っているようだったが」

「確かにあいつ、ご飯残すと母ちゃんみたいに怒ってたもんだったなー」

「『こら! 残してはいけません!』ってなぁ」


気になっていたのか、レノックス達の会話に他の隊員、そしてディセプティコンが紛れ込む。


「何だそれは。随分と鬱陶しいな」


ブラックアウトが不快げに眉を潜めるとさっきの隊員が困ったように頭を掻く。


「仕方ねぇよ。あんな人生だったらなー」

「あんな、とはどんなのかね?」

「おー。小さい頃滅多にご飯貰えなかったんだっけなぁあれだよあれ、虐待」

「馬鹿、その背景には戦争があったんだろ? 虐待で済ませるのはちょっと違うぜ」


ラチェットの疑問に答え、ああだこうだと話し合う二人の会話に耳を傾ける。
要約するとこうなるようだ。
小さい頃戦争のせいで食べるものがなく、飢えに苦しみ、それが治まったと思ったら今度は兵隊生活だ。戦場では普通に食べることなく雑草や泥水を啜り一週間を過ごすこともあったらしい。


「そりゃ戦争が嫌になるよ」

「ご飯大好きになるよなー」


トランスフォーマー達も、エネルギーが無く一人また一人と仲間が倒れて行く時代を思い出す。もう二度とあんな思いはしたくない。それはオートボットもディセプティコンも同じ考えだ。
食堂はまた静まり返っていた。


「人の過去をそうベラベラと…全く」


突然掛けられた、此処に居ない筈の声が聞こえ皆して飛び上がり、食堂入り口を恐る恐る振り向くとエリー、そして罰の悪そうなアイアンハイドがいた。


「エリー…」

「エリーさぁん…」


針のむしろに立たされた隊員をスルーし、エリーはほらとアイアンハイドを促した。


「あ、ああ…さっきは騒がしくした」

「で?」

「…悪かった!」

「よろしい。では、さっきのご飯召し上がっといて下さいね」


何が何やらと目を瞬く一同も華麗にスルーし、エリーは今度こそ食堂から姿を消す。
いつの間に仲直りしたんだ。
質問の嵐に巻き込まれる前に、とアイアンハイドは早々に食事を済ませようとしたが逃げきれない。
そのまま問い詰められるアイアンハイドであった。





後書き
よいしょよいしょと微妙な内容…。
戦争や飢餓は、本当はもっともっとキツイと思います。

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