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オートボット総司令官よりも先に、ナイトレイを発見した。
サイドスワイプは先ほどサムから聞いた話を思い出し、ちょっとの警戒心と多大な申し訳なさも相まって近づこうとしない。
そんなコルベットに痺れを切らしてサムはアクセルを強く踏み込んだ。
結果。
急に対応出来なかったサイドスワイプはナイトレイの前方の壁にとてつもない勢いで衝突。壁の持ち主にとっては悲劇的な、しかし仲間からみれば喜劇的な再会を果たした。

ナイトレイは突然目の前で起こった事故に困惑していた。
彼女の脳内に二つの選択肢が浮かび上がる。助けるか、見て見ぬフリをして去るか。
始めは後者を選ぼうとじりじり下がり始めたナイトレイ。しかし急に動きを止めて慌ててサイドスワイプに駆け寄った。
トランスフォームと同時に急いで瓦礫を取り除く、とサムが咳き込みながら出てきた。
ほっと一息つくと一応ついでだからと瓦礫をコルベットから退かした。

作業が終わり恥ずかしそうなサイドスワイプがぶっきらぼうに礼を言う。
構わない、そう返すと更に縮こまる。
可愛らしく思えてサムとナイトレイが笑うと今度は怒ったような顔を向けてきた。それもまた可愛い。


「あのよ、その…悪かった。てっきりお前がディセプティコンだとばかり思って…」


しどろもどろながらも謝罪を述べる。この若いトランスフォーマーは純粋で意地っ張りだが女性には酷く優しい。
ナイトレイが女性型だったからこそきちんと詫びれたのだ。男性型だったらアンタが勘違いさせるから悪いやらオレは悪くないなどと言っていたのだろう。

サムは更に笑えてきて仕方がなかった。


「いや…どちらにせよ、私はもう駄目なんだ。他を信用することが出来そうにない」


君と話してる今も警戒を解くことが無理だ。
ナイトレイはゆるゆると首を振り困ったように肩を竦める。


「で、でもオプティマスは、」

「…私についての記憶は全てデリートして、私を破壊してくれ」


笑うのを止めてサムは勢い良く見上げた。
この友は何と言ったのだろう。


「出来ない…」

「オプティマスと話していて彼の純粋さにやられて参ってしまった。もうこれ以上生き恥を晒したくないと考えてるんだ」

「それは間違いだよ!」


マイナス方向へどんどん沈む彼女を引き止めるため大声を張るサム。
視線が己に集まった事に気付いて居心地悪そうにする。しかしきちんと自分の意見は伝えた。


「大切なのは過去じゃないよ…今を生きてるのが重要なんだ。それに、君を助けてくれたディセプティコンもきっと生きることを願っていたんだ」

「サム…君は、凄いな」


ポツリと呟いて踵を返す。待ってとサムは追い縋るが小さな人間ではその動きは止まらない。


「…暫く、この街にいる。ゆっくり考えたいんだ」


生きてる限り時間はまだたっぷりあるんだ。
サムに囁いてサイドスワイプへ通信。
君達のリーダーともいずれ話したい。でも今は無理だから…その日まで待ってて欲しい。
サイドスワイプは強く頷く。
そして彼女に関する情報を仲間へ広げた。同じ過ちを犯すオートボットが出ない事を願って。
最後にもう一度すまないと謝罪。ナイトレイが柔らかく笑った気がした。





20110805

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