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やって来たのはオートボットの司令官だった。
しかし言葉の割には武器を向ける動作が鈍い。
そこでナイトレイははた、と動きを止めた。
ナイトレイとオプティマスを交互に見上げる少年に目を移す。
サムは親しげに名を呼んでいた。


「そうか、君はオールスパークの、」


確信を得ようとした途端オプティマスの武器を持つ手に力が込められる。
どうやら図星のようだ。


「サムから離れろ!」

「…ふん。人質などとらないというのにな。ましてやサムをか」

「ナイトレイ!」


鼻で笑うとサムが焦った様に名を呼ぶ。
もしかしてその小さなボディで庇ってくれているのだろうか。

無意識に零れた微笑みにオプティマスは虚を突かれる。
ディセプティコンはこんなに柔らかく笑うのか。しかも貧弱だと見下す有機生命体に対して。
内心首を捻りつつ、目線はナイトレイから離さない。


「楽しかった時間も終わりだ。…話を聞いてくれてありがとう。そしてメガトロンを倒してくれて」


小声でサムに礼を言うと彼の目が見開かれる。
体を斜めにして体勢を変えるナイトレイ。
来るか、と身構えたオプティマス。


「待ってオプティマス!」


制止を促す声に何故とオプティマスは問うた。
だが姿勢は変えない。


「ナイトレイはディセプティコンなんかじゃないよ、僕らと同じ、ディセプティコンを敵にしてる仲間だ!」

「サム、ディセプティコンは嘘をつく。シンボルを見るんだ」


必死に訴えるサムの言葉とさっき見た穏やかな顔。
オプティマスは珍しく迷っていた。


「信じるか信じまいか、それは問題では無い。しかしその不名誉を口にされて否定しない訳にはいかないな」


一方ナイトレイは不快げに呟く。
ところで他のオートボットは何処へいるのだろうか。
もしやこいつ一人暴走して…いやまさか司令官がな。


「彼女の様子を見ても分からない?古い傷で一杯だ。ディセプティコンでも医者は居るんでしょう?治して貰えないのには訳があったんだ」


言葉を重ねる度にオプティマスのカメラ・アイが揺れる。


「さっきまでナイトレイと話していた僕を信じて!」


そしてその言葉でオプティマスは覚悟を決めた。





20110803

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