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平然としているようだがその心は暗く淀んでいた。
仲間を撃った事は辛いものの結果、彼が助かったなら構わない。だが。
『ディセプティコンめ』
あの場ではさらりと流したが、サイドスワイプの咄嗟の罵声は彼女の精神を酷く揺るがしていた。
咄嗟にでる言葉はきっと、本音なのだろう。
仲間と思っていたのは自分だけだった。
心の奥底では彼の中でナイトレイという存在はディセプティコンだったのだろう。
「すまねぇ。オレが言っても仕方ねぇけど…あいつも師匠の危機に、つい出ちまっただけなんだ」
「…大丈夫。分かってる」
微笑んで許しを与えたナイトレイをサイドスワイプは疑わない。そして自身の何気無い一言が彼女のスパークを凍らせた事にも気が付かない。
「ありがとう、ありがとうナイトレイ…っ」
「レノックス、泣くなよ?」
「泣くわけ…ないさ!」
「そうか…なら、良いんだ。さて、気を取り直して、センチネルを」
気丈な態度を取るレノックスの心中を察してあえて深く突っ込まず、隊員もオートボットも再び反撃の狼煙を上げるため立ち上がった。
先程の戦闘で傷付いた隊員達が慌ただしく運ばれて行くのを横目に、ディーノはそっとナイトレイを降ろす。
「平気か?」
しゃがみこんだディーノが足下から軽くスキャンしていく。過保護な彼にナイトレイは笑みを零した。
「勿論。あんな蹴りで怪我するような私じゃない」
「…ナイトレイがそう言うなら…そういう事にしといてやっても良いって言いたいけどなぁ………真実を言えない程オレに信用がないのか?」
ディーノはナイトレイだけを見ていた。
アイアンハイドに武器を構えた時も、その行動の真意を探る為に、何も理由無しに仲間にその凶器を向けられる奴じゃないと信じていたから。
あの時、暗い陰を落としたそのカメラアイ。ナイトレイが傷付いたという自身の直感を迷わず信じた。
ただひたすら献身的にナイトレイの身を案じて発された言葉だと悟って目を伏せぐったりと俯く。
「………私は、ディセプティコンなんかじゃない」
「ああ」
「…っそれだけなんだ」
ディーノしか聞いていない。
ほろほろと本心が零れ落ちる。
「皆分かってる。誰もそんな事思っちゃいねーよ」
「だって、さっきは」
「…師匠に武器を向ける者は、みーんな敵になんのさ」
ディーノは思ったより重傷を負った事実に眉を顰めた…不甲斐ない自分と安易に言葉を選んだサイドスワイプに。
きっとこんな上っ面だけの言葉なんざ届かない。
「…そーか」
「そーだよ。それにオレはナイトレイのこと、大事な仲間だと思ってる」
「…ありがとう。落ち着いてきたよ」
だが、少なくともディーノがナイトレイを大切にしていることだけは気付いて欲しかった。
「(なあナイトレイ…死神は近いからな、ってどういう意味だ?)」
アイアンハイドは離れた所からわあわあ騒ぐ弟子を無視して、自由の効かない体を必死に起こし、話しているナイトレイとディーノを見つめる。
アイアンハイドもまた、ナイトレイと同じ類いの嫌な予感がしていた。
後書き
納得はしていないけど、ディーノが自分を気遣う程度に仲間だと考えてくれていると知り、救われたナイトレイさんです。
121009(131231)
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