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「中に急げ、早く!」


レノックスが指揮を執る。
NEST基地へ次々と入るオートボット達を心配していた隊員は安堵の溜息を吐いた。すかさずレノックスの厳しい叱咤が入る。


「気を抜くな! そんな余裕はないぞ!」

「は、はい!!」


姿勢を正して改めてオートボットを見つめる。
一人、二人、三人…。どうやら欠けてしまった仲間は居ないようだ。先に連絡で聞いていても心配なものは心配だったのだ。


「レノックス!」

「サムか、無事で良かった!」

「ありがとう。知らせたい事があったんだ…敵がいる」


神妙な顔で告げるサムに、うんとレノックスが頷いた。


「安心してくれ、配備中さ。アイアンハイド! センチネルを守ってくれ」

「了解した」

「私も共に護ろう」

「ナイトレイは自分の身を第一に考えておけ」


低い声で力強く告げ、武器を構えるアイアンハイド。頼りになる相棒にレノックスも笑顔で応えた。


「彼が、全てのカギだ」


そして真剣な表情でサムへと向き直った。
センチネルを指で示し、サムもまた真剣に言葉を重ねる。
レノックスが口を開き、何か言おうとしたその時。


「ああ、その通りだ」

「センチネル・プライム…?」


ナイトレイは妙な予感がした。今この瞬間と、これからの未来に。
センチネルがトランスフォームしてゆっくりと振り返る。


「我々は先の戦争に勝つ見込みがなかった」


何を言い出すのかとサムやレノックス達の視線が彼に集まる。
トランスフォーマー達は周囲の警戒に当たりつつも音声を拾っていた。


「だから私は…取り引きをしたのだ。星を救う為にな」

「センチネル、何を、」


再び背を向けるセンチネルを人間達がキョトンと見ていた。分からないのは皆同じ気持ちだった。
サムが呟く。
センチネル、何を言い出すんだ、と。


「そう…メガトロンと」


背を向けたのは武器を取り出す為だったらしい。
ガチャンという金属音が聞こえた瞬間、ナイトレイは最もセンチネルの側に居た勇敢な兵士へと駆け出す。


「間に合えっ!!」

「な、にを…?」

「すまないアイアンハイドよ」


センチネルが護衛に当たっていた男を狙うと同時にナイトレイの右手がアイアンハイドの肩を押す。
銃弾は胴体を外し、右脚の膝辺りを貫通し、右腕を掠っていく。
関節を撃たれ倒れ込むアイアンハイドの上にナイトレイが重なる。


「皆…下がれっ!」


レノックスの指示の元、今だ状況の飲み込めない一同はジリジリと下がる。
センチネルは一瞬躊躇い、そして確かにアイアンハイドの身体を銃弾が貫いた事を確認して追撃を止めた。
但し彼の手に握られていた武器を遠くへ蹴り飛ばす。


「何を…する、んだ…!」

「お前を任務から外したのだ」


呆然とセンチネルを見上げるアイアンハイド。冷たい、深海のように暗く淀んだ青の瞳がアイアンハイドとナイトレイを見下ろす。
ナイトレイはキッとセンチネルを睨んだ後、はっと彼の武器に注目した。


「センチネル・プライム…貴様、その武器は…!」

「最期の一時を楽しめ、小娘よ」


死神は近いからな。
アイアンハイドを憐れみ、ナイトレイを憐れみ。
センチネルは次なる敵を屠る為に歩み始める。










後書き
更新止まる前は、この後の展開の反対を書くつもりでした。

「アイアンハイド、戻って来ーい!」

121009

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