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ナイトレイは月に行かなかった。
彼女は思考の海に沈んでいく。記録の再生が勝手に行われる。
人間でいう、過去の記憶に捕らわれた状態だった。

消去しなくてはいけない。消せるか?


(無理だ。私の心の支えなんだ)


ならば彼を破壊出来るのか?


(…やる)


それは実行出来ないぞ?


(やる)


ならば何故躊躇ったのか?


(っやれる!)


その躊躇が答えだ。


(………。やらなくちゃ、いけない)


躊躇いは隙を産む。敵は容赦なく隙を突く。


(でも…)


無理だ。

どんどん暗い底へと沈む。冷静な#部分のナイトレイが迷いを棄てろと囁くのに従う事が出来ない。
どちらを選ぶことも出来ず、どちらを棄てることも出来ない自分が本当に嫌になった。


"ナイトレイ"


声が鳴り響く。再生が止まらない。


"ナイトレイ、そんなに怯えるな。いずれ消す、という位の気概を持て"


そうだ。その言葉で私は変わったんだ。臆病者のナイトレイを殺し、怒りを内包する復讐という手段を見つけた。


"私はお前の冷静さを評価している"


その言葉で始めて自分の良いところを見つけた。始めて自分にも長所は存在すると知った。


「っ駄目だ! 止めろ…!」


記憶は消せそうにもない。





後書き
半分以降を別の日に書いたら何を書こうとしたのかわかんなくなっちゃいました←
とりあえず話を進めようって考えていたのは確かなんですが…。

20110822

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