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舞台は地球。
かつてはこの惑星に在ったオールスパークを巡りトランスフォーマー達の戦場となった場所。
緑に溢れ、その大半を水に覆われているという。
その中のある森でこの物語は始まった。





「しつこいなっ!」


木々をかい潜りながら縦横無尽に駆け巡るその自動車は逃げている。
相手は正義の看板を掲げるオートボット。
ナイトレイは不審なトランスフォーマーとして追われている。
森を拠点としていたので地の利はナイトレイにあるものの、数が多い。
消耗戦を仕掛けられてナイトレイは辟易し精神的疲労に襲われていた。
だが此処で捕まるのも嫌。
ナイトレイはまた走り出した。


「一旦、休もう…」


漸くオートボットの手が止み一息つくナイトレイ。
用心深く気配を断ちながら移動する。
木々が掠れる微かな音も見逃さない。

その時である。
突如巨大な影が現れナイトレイの行く手を遮った。
宙より急に現れた敵に、唖然とした表情。


「すまないが逃亡劇は終了だ」


穏やかな声に悲しげな表情で佇むのはオートボットの司令官、オプティマス・プライムだ。
そんな顔されてもどうせ仕留める気で一杯なのだろうよとナイトレイは考える。
プライムはぐ、と武器を持つ手に力を篭めた。
まずい。
ビークルモードでは対応仕切れないと判断したナイトレイは振り下ろされる刃を避けながらトランスフォームした。
その姿を見てプライムが顔色を変える。


「女性…だと」


顔色を変える理由が性別だと分かり、ナイトレイの気分はただでさえ低いのに更に低下を辿る。
女性というのにそんなに意味があるのか。


「何か不都合でもあるのか?いいや無いだろうよ。お前等は只引き裂くだけだからな!」


侮蔑するように言葉を投げつけると心外だと言うように顔のパーツを動かすプライム。


「な、」

「私からしたらオートボットもディセプティコンも変わりはないさ。どちらも力ずくで事を成そうとする理不尽な奴らだ」

「それは一体どういう事だ!?」


動揺したプライムの隙を突いてナイトレイは逃げ出した。
向かう先は都会。
人間が多いので自称優しい自称正義のオートボットは下手に動けないだろうと予想したからだ。





20110803

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