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「なあサイドスワイプ…あの妙に物騒なのは一体…」

「ジョルトっつーんだが…まあ、医者でなぁ。師匠ラチェットの影響であんなんになっちまったんだよ」

「医者なんて嘘はよせ。あれは…いや、やっぱり医者かも」


こそこそひそひそと話す。個人的な通信だからジョルトには気付かれていないだろう。ちらりと一瞥すると笑顔の彼と目が合った。気付いている。


「何だよその意見の返し様は」

「いや…ディセプティコンのドクターも相当なマッド野郎でな…」

「おやそれは意外ですね。確かすっごいちっさい方でしたよね?」

「個人回線に割り込むなよ!」

「…よそう。もう普通に話しても同じだよ…」


そう結論づけて回線を閉じた。ジョルトの笑顔が更に深まる。
ドクター以上に恐ろしいかもしれない。


「ではもう良いですか?」

「…ドクターをちっこい呼ばわりするとは度胸あるな」

「そんな恐ろしい奴なのか?」


ドクターについて話してやるとサイドスワイプまでもが食いついた。
君達は彼の恐怖を知らないのか。


「ディセプティコンにはそういう医療の技術を持つ者が極少数しかいなくてな。だがよっぽどの大怪我でなければ絶対に頼らない。自己再生能力に任せるんだ」

「へー…どうしてだ?」

「どう思う?」


自分で考えてみろ、と問い掛けてみる。サイドスワイプは唸って考えた。
なかなか答えは出ないようだ。
疑問符ばかり頭の上に浮かんでいる。
その後漸く思いついたらしく勢い良く顔を上げた。


「廃品ばっかり入れられる、とか!」

「ボクと師ならしちゃいますね!」

「えっ」


直後ジョルトが笑顔で肯定したからサイドスワイプが驚いた声を上げる。
オートボットですらそんな状況なのかと少々同情する。
だが答えはNOだ。


「残念ながらハズレ。まあそれも怖い…ドクターにやられて気付いていないパターンもあるか。正解は回路外しに爆弾仕掛け。これには部品だけ綺麗に遺してオートボットを巻き添えに死亡した男もいたな。…他にも治療の振りして実験室に連れ込まれたり…」


ドクターの悪行をどんどん並べると段々とサイドスワイプの顔色が悪くなる。比喩的な表現ではなく、本当に顔からオイル気が失せていく様子が観察出来るほどだ。
それを理由に言葉を濁して強制終了。
サイドスワイプの隣ではジョルトの奇妙なまでに爽やかな笑顔が爛々と輝いていた。





20110812

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