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「どうした?命乞いの言葉すら分からなくなったか」
冷たい言葉がスパークに突き刺さる。
反論せずただひたすら暴力が収まるのを待つ。
「貴様のような間抜けな鉄屑を助けて、アイツは何がしたかったんだよ」
「こうやって遊ぶためじゃないのー?」
「ハハハ、それなら納得!これ以上の事もやってるだろ絶対」
コレは単なる子供の嫌がらせレベルだ。一々目くじら立てていられない。
「一丁前に我慢してるぜ」
「あー…駄目だ」
「ん?どーしたよ」
「おれ、こういう奴見ると意地でも口開かせたくなるんだわ」
「…同意」
おのれ。
いつか貴様らには私直々に引導を渡してやる。
この惑星では全く姿を現せられない。そこが不満だとナイトレイは文句を言う。
尤も聞いている者は一人も居ないのだが。
ナイトレイとしては、いずれディセプティコンと戦ううちに存在はばれるだろうと見当をつけている。ウェブ上に写真が掲載される事態を食い止められていないことも理由に含まれる。
不満点を述べるのにも飽きてきた。しかしナイトレイは何度も同じ言葉を繰り返す。これはどこかに異常が発生しているからではない。自分をごまかす為だ。
ディセプティコン時代の記憶。
悪意と疑いに満ちたとき。
人間の子供が同じかそれ以上の体を持つ人間達に迫害されているのを見てからフラッシュバックが止まなかったのだ。
「ああもう…忌まわしい」
「おい…大丈夫か?」
声をかけられてドキリとした。意識を声のした方へ向けるとサイドスワイプと、知らないオートボットが居た。
「中々声をかけ辛かったんだけどよ…今、良いか?」
「…好きにするといい。何だ?」
「オレ達の仲間を紹介しようと思ってな!師匠がナイトレイと話したってんだからオレも話したくなったというワケさ」
機嫌よさげに笑うサイドスワイプはそうなのだろうが、お仲間さんは良いのかと尋ねた。
「いえお気になさらず。ボクも一度会話してみたいと思っていまして…それに我が師、ラチェットにも言われたんです」
「(…知らない名前が出てきてもな)なんて?」
「大人しいディセプティコンのサンプルを取ってみたいって」
サンプルって。
ナイトレイもサイドスワイプも顔を引き攣らせる。
心なしか語尾にはハートマークが付いているように感じた。
20110808
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