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ナイトレイは街でひっそりと暮らしていた。
乗り捨てられた車の様に薄汚れているがその心は変わらない。
トランスフォームしてロボットモードにもならず、気付けばそこにある、といった風体だった。
そうして一人静かに暮らしていると否応なしに思い出される過去。それはディセプティコンの時代の事でもあったしオートボットと会った頃の事でもあった。
何故私はこの惑星に送られたのだろう。
そう悩みだすと止まらず、ぐるぐると思考が螺旋状になってしまう。
そしてそんな時間を壊してくれるのが人間。


「へえ、外見の割に中は綺麗で良い車じゃん」


こんな風に勝手にナイトレイを持ち去ろうとする者も少なくない。だがそれを拒むのも少し楽しいと感じていた。
叩いても蹴っても、うんともすんとも言わない自動車に人間は憤って去る。
その目前に、何事もなかったように止まり直す。これを繰り返す内に怯えるようになる小さな人間には悪いが、こんな楽しみでもないとやっていられない。


「おい」


またか、と考えてから違和感を覚えた。
これはトランスフォーマーから声をかけられている。
恐る恐る視界を後ろへやると黒い大きな車。トップキックだ。


「君は誰だ?オートボットか、それとも…」


尋ねて返ってきたらある程度の知性があると分かる。
来なかったら逃げ出すべきだ。


「フン。あんな連中と一緒にするな。オートボットのアイアンハイドだ」


取り敢えず、安堵した。オートボットなら無用な攻撃はするまい。サイドスワイプかオプティマスが事情を説明してくれている筈。


「何用か。今のところ目立った行動はしていないのだが?」

「いや…ちょっと、話してみたかっただけだ」


予想外な言葉に目が点になる。
空いてるか?との言葉にいつ了承したのかも分からなかった。


「行くぞ」


という無愛想な言葉に慌てて後を追う。
一体何なのか。





20110806

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