▼ アベ
街が破壊されて行く。
人々が殺され、やがて動物も息絶えて植物は焼かれていくのだろう。
真横に立っていた女性が両手で頬を抑え、金切り声を上げて倒れ込む。腰が抜けたのか立ち上がる事に苦戦していた。
前を見るとちょうど異星人が着地したところで、土煙が上がっている。彼の視線の先には、彼女が居た。
「私は…私が手を出しても良いのだろうか」
彼女の横に並んで呟く。
敵は待たない。
「…まあ、こんな状況で自分の勝手な理由でうだうだしてても後悔するだけなんだけどね」
2013.09/18(07:04)