Epilogue



それからなんだかんだあって、何とか佐隈を元の大人姿に戻すことが出来た。

佐隈にお礼の言葉と絶品カレーをたっぷりと振る舞って貰ってから、ベルゼブブはすっかり通い慣れてしまった佐隈の部屋を後にした。
散々大変な思いもさせられたけれども、小さな佐隈と過ごしたこの数日間は実に楽しいものだった。無事解決したことを安堵する反面、あの日々が終わってしまうことに対する寂しさが全く無いとは言えなかった。
しかしそう思ってもどうしようもないこと。魔界の自宅に戻ったベルゼブブは一先ず疲れた身体を休ませようと、寝室に向かい寝支度を整えようとする。

……が。そんな矢先に、何故か頭上に現れる魔法陣。

つい最近、こんな光景を目にした気がする。多大な不安と若干の期待を胸に、脱ぎかけた上着を羽織り直して魔法陣に飛び込んでいく。

繋がった先は、予想通り佐隈の部屋。
しかし、ぐるりと部屋を見渡してみても、肝心の佐隈の姿が見当たらない。また子供化でもしたのかと思い視点を少し下げてみても、まだ姿が見えない。

「……さくまさん?何処です?」
「……ル………ブさ……」

何処からか、か細い呼び声らしき音が聞こえる。耳を凝らして探り当てた声の出所は、床上に開きっぱなしで投げ出されたグリモアの方からだった。
グリモアに近寄り、しゃがみ込んでみて、そして唖然とする。

「べっ、ベルゼブブさぁぁんっ!」
「これはまた……妙なことになりましたねぇ……」

さながら親指姫、身の丈15cmほどの、大人姿のまま10%縮小を賭けられた佐隈の姿がそこにあった。


***


そんなこんなで。
終わったはずだった私達の一味違った日々は、どうやらもうちょっとだけ続きそうだ。


Fin ?


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*****

トイトイさんより頂いたリクエストです。
小型化なんて何度も出来るネタじゃない!と思い、思い付く小ネタ詰め込んでの短編集形式になりました。
結果的にかなり長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂けていたら嬉しいです。
(ちなみにEpilogueは、『さくまさんがちっちゃくなる話』と聞いて私が最初に想像したパターンです。笑)
リクエストありがとうございました!


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