何でも屋クラウドの日常

とある日、俺を介してマムから名前に何でも屋の依頼が来た。俺がやると言い張ったが、男はお呼びでない、と一蹴。どうやら手揉み屋の人員が足りていないらしく、名前を働かせたいらしい。俺は最初反対したが、マムに恩返しがしたいという名前の強い意志と、頼られてやる気になっているその姿をかわいらしく思い、強く言えなかった。まず何が嫌かと言うと、あの露出度の高い服装だ。胸元が開きすぎている。うなじは丸見え、しかもカーテンを閉めれば外から中の様子は見えない。そしてもう一つ、手とは言え、客に触れることになる。客が男だけということはないだろうが、変な気を起こした輩に何をされるか分からない。名前のことは信じているが、あのウォールマーケットだ。頭のおかしい奴も少なくはないだろう。心配だから取り敢えず初日の勤務に同行するとマムに伝えたところ、渋々だが受け入れてはくれた。

「覗くんじゃないよ」
「待っててね〜クラウド」

手揉み屋に到着すると、マムは早速、と言って名前を奥へと連れて行った。後悔が段々と募る。やはり、強く断るべきだったか…。俺が四六時中見守るという訳にもいけないだろう。名前が相手をした客に優しい目は向けられない。営業妨害だと追い出されるかもしれない。つい溜息が出た。

「クラウド、お待たせ」
「…」
「どう?似合うかな?」

…やはり誰にも見せたくない。白く滑らかな肩は曝け出され、両の鎖骨は丸見え、さらしは緩く巻かれているのか胸の膨らみが全く隠せていない。髪は綺麗にまとめ上げられ、着崩しすぎて足も少し歩けば太腿まで見えてしまう始末だ。目のやり場に困る。何も言わない俺に名前が近づき、似合わないかなぁ、と零す。唇は濃い赤色をしていて、色気がだだ漏れだ。相変わらず口を閉ざす俺にマムは、何とか言いな!と閉じた扇子で背中をはたいた。

「似合ってる。綺麗だ。でも、ちょっと露出しすぎじゃないか」
「嬉しい!うーん、こういうの着た事ないから新鮮でいいと思うんだけどなぁ」
「これが手揉み屋の正装だよ!…まぁ名前に手出す奴がいたら、あたしが容赦しないから安心しな」
「…頼んだぞ」

そこから数日、名前は昼は手揉み屋、夜はセブンスヘブンとハードな日々を過ごしていた。働くのはいいが俺より忙しいんじゃないかと思うほどだ。そのお陰でまともに会えてもいない。日々溜まる不満が爆発しそうになった頃、吉報が届いた。新しい人手が見つかったと。そして名前が上達した成果を俺に披露したいらしい。最近疲れも溜まっていたから丁度いい。俺は軽い足取りでウォールマーケットへ向かった。

**

「じゃ、始めるね」
「あぁ、頼む」

俺が仰向きで寝ているベッドに腰掛けた名前は、俺の手を取ってゆっくりとマッサージを始めていく。…これは、もしかして、マムより、

「っ…!」
「ご、ごめんね!力強かった?」
「いや…」

ほどよい力加減と的確なツボを押されて、平常心を保てなくなりそうだ。気を紛らわすために視線を泳がすと、目に入るのは曝け出された白い太腿。マッサージに必死なのか、俺の視線にも気付いていない様子だ。ふと悪戯心が芽生えた俺は、すらりと伸びるそれに手を伸ばした。

「ひゃっ!?」
「名前も疲れてるだろ?」

ゆっくり、指先で内腿に触れると、声を我慢しているのか、ふるふると震える体。そのまま少し力を入れて揉んでいく。柔らかくて、むしろ触っている側の方が癒される効果があるんじゃないかと思うほどだ。

「クラウド、やめ、て。こんなところで」
「声を出さなきゃバレない」
「何言ってんの!?ちょ、やだっ、んぅ」

体を起こし、深紅の唇を塞いだ。うなじに触れた指で肩をなぞり、名前の手に触れて、さっき俺にしてくれたように、指の付け根を緩い力で押す。キスは、したまま。名前の理性を崩すために、べろりと唇と一舐めすると、少し緩んだ口元。そのまま舌を捻じ込んで名前の、を捕まえる。

「んぅ、っふ」
「っはぁ、どうだ?手、気持ちいいか?」
「気持ちいい、けど!今日は私がクラウドにマッサージしてあげたいのに」
「どちらにせよ、途中で我慢できなくなる」

肩に舌を這わすと、少し名前の体が反った。こんな大胆な格好で恥じらいながら抵抗を示す姿が、興奮を煽る。開かれた足の付け根に手を伸ばそうとした、その時。

「そ、こは、ダメ!マ、マムさん!マムさーん!」
「なっ…!?」

その声を聞いて飛んできたマムは鬼のような形相だった。確かに時と場合を考えられなかった俺も悪いが。…まぁいい。今日はこの後たっぷり癒してもらうことに決めたからな。
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