7月7日。織姫と彦星が一年に一度、出会うことができるそんな日。そういえば、名前もそんなことを言っていた気がするな。ティファは鼻歌を歌いながらセブンスヘブンに笹を飾り、マリンは楽しそうに短冊に願い事を書いている。違う世界でも共通した習慣はあるらしい。毎日毎日、あの平和な日々を思い出す。同じ世界線で生きているなら、一年に一度だけでも会えるのなら、それだけで俺は織姫と彦星を羨ましく思う。世界を越えないと、もう二度と会うこともできないのだから。忘れたくないのに、声、笑った顔、時間が経つ度に薄くなる記憶。そんな自分が嫌だった。思い出は形を変え、そして消えていく。

「クラウド、今日は七夕なんだよ!願い事、短冊に書いて吊るさなきゃね」
「そんなので叶うのか?」
「夢がないなぁ!書く事に意味があるんだよ?私は何にしよっかなぁ…結婚して幸せに暮らせますように、とかでいいかぁ」

夢とか言っておきながら、やけに現実味のある願い事に俺はあの時、少し笑ったんだったっけな。なぁ、願いは叶ったか?幸せに暮らしているか?俺は、元の世界に戻れますように、と書いたはずだ。そんな願い事、しなければよかった。今なら、ずっと一緒にいれますように、と恥ずかしげもなくペンを走らせることができるのに。それを伝えたい相手はもう、俺の横にはいない。

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