・・・目が覚めた。
寝ぼけ眼でまぁいつものことだし気にせずしていると、ふと声が聞こえた。
「おい、大丈夫か?・・・開けるぞ」
クラウドの声・・・クラウドの・・・と考えていると目が覚めた。
気にしなくていいってことと204号室のこと説明しなくちゃな。
重たい体を起こして自分の部屋のドアノブに手をかけた。
ガンッ
ちょ、え、待って。
急いで部屋を出ると背中に差していた大剣を振りかざそうとしているクラウドがいた。
「クラウド!やめて!」
「部屋に戻ってろ!・・・リユニオン?何のこと・・・」
「クラウド、どうしたの?クラウド!」
よく分からない言葉を発しているクラウドに声をかける。
・・・リユニオンって何?
頭にクエスチョンマークを浮かべていると204号室の住人、マルカートさんが呻き声を上げた。
「あぁ・・・あ・・・」
クラウドはハッとなって剣を振り下ろすのをやめた。
「・・・クラウド、この人は204号室のマルカートさん。病気でずっとこんな感じなんだって・・・。時々様子を見るように大家さんから頼まれてるから・・・クラウドもお願い」
「・・・ああ」
私が支えているマルカートさんの左腕には49という数字が刻まれている。
これが何を意味するのかはよく分からないけど、追求はしないようにしている。
知らなくてもいいことだってある。
私達はそれぞれの部屋に戻る。
ティファは目が覚めていないみたいで、良かった。
私はすぐ眠りに落ちた。
「・・・眠い」
目をこすりながらぼーっとする。
なんか昨日は色々ありすぎて疲れた。
眠りが浅かったのか頭がいつもより目覚めが悪い。
用意して、店へと向かった。
「ティファ、おはよ」
「名前、おはよう」
「そういえばティファ、昨日マルカートさんのことクラウドに説明しておいたよ」
「え・・・本当に?何かあったの?大丈夫だった?」
「マルカートさんの物音に反応しちゃったみたいでさ・・・軽く説明はしておいたよ。クラウドも気にかけてほしいってこと」
「そっか、名前ありがとう」
「じゃあ私ちょっと裏で在庫の確認とかしてくるね」
「助かる〜あ、名前、最近注文が多い商品から注意して見てほしい」
「了解」
「えーっと、わ、本当だ。ウイスキー後これだけしかない。リキュールはどうなってるかな」
独り言をもらしながら在庫の確認をしていく。
そういえば、昨日の一番魔晄炉の件詳しいことは聞いてないや・・・どうなったんだろ。
・・・最近アバランチを抜けようかな、なんて思っている自分もいた。
神羅を憎む気持ちはあるけど、今の自分を突き動かすほどのものでも、正直ない。
時間が経つと当時の気持ちも忘れていく。
とびきり不幸なことが起こらないのであれば、とびきり幸せなことがなくてもいい・・・このまま普通に過ごせることができればいい。
当たり前が当たり前じゃなくなる日常にだって変わる状況の中で生きている。
わざわざ危ないことに手を出すほど刺激が欲しいわけでもない。
自分が次に危ない作戦に呼ばれた時に考えよう。
でも頼られちゃうと断れないんだよね。
考えるのを後回しにして、店の裏から出た。
あれ、誰もいない。
在庫の確認も終わり、特にやることがない。
ティファに何かやることないか聞こうとしたけど、肝心のティファがいない。
ふと店を見渡すと、クラウドが昨日ティファに渡した花が飾られていた。
「・・・綺麗」
淡い黄色、色はかわいいけど、何か儚さがあるというか・・・花に詳しくはないけど。
花にはひとつひとつ違った花言葉があるという、私は携帯を手にとって花言葉を調べてみることにした。
・・・この花かな、花言葉は、えぇと、
「・・・”再会”」
あぁ、そういうことか。
案外キザなことするな、まぁ意外と格好つけだしねクラウド。
どうせなら2輪買ってきて私にもくれたってよくないか、と心の中で悪態もついてみた。
・・・なんかここにこのまま一人でいたくない。
最近使ってないし、武器屋に手入れでもしに行くかな。
私は店を出て、自分の中の空気を入れ替えるかのように大きく息を吸った。