2013/12/12 01:21
没ネタ 書きかけ
毎夜毎夜夢を見る。
ずっと続く、永遠にすら思えるような階段を登り続け、やっとの思いで登りきったのに着いた先で後から軽い足取りで現れた幼馴染みに片手で押されて真っ逆さまに落ちる夢だ。呆気なく落下した俺は、実に簡単にスタート地点へ戻された。
何もない、まっさらな地で動けなくなった俺は落下した体勢のまま体を横たえていた。
誰も、気付かない。俺には誰も見向きもしない。代わりにはるか上の方で俺を蹴落とし君臨し続ける幼馴染みは、持て囃され崇められた。彼は、俺を見た。
しかし、そのあとの反応までは覚えていない。ただ、彼が俺を認識したことだけ覚えている。
非常に暗示的で直接的な夢だった。
オーキド・グリーンは自室で目を覚ました。
12/16 04:53 短篇
※完全にある方のヤスグリの影響受けてます。
ツイッターで40分位でかいたやつ。
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いきなり芸術科ヤスタカ君とグリーンさん。
―ひとけを避けて、夕日刺し込む三階廊下を一人歩いていた。もううんざりだったのだ。答えを見つける気などなく会議を引っ掻き回せば会議をした気になる輩との会議は終わりが見えなかった。所詮、俺が抜けても気づかない。そう思い気配を殺しそっと抜けた。
誰もいない教室は、特別教室の集められているこの棟には珍しくもない。だから、適当に選んで乱雑な扉の開き方をしてどかりと椅子に座りうつぶせた。荒々しい溜息をつきふと冷静になる。
人の気配だ。
少しの気まずさに今度は静かに溜息をつきわずかに頭をあげると、目を丸くした男がいた。
男は木製のパレットを持ち、もう片手には筆を持っている。どうやら、芸術クラスの人間らしい。グリーンは見慣れぬ姿をまじまじと観察し、一息ついてから「わり、人がいるとは思わなかった。」と謝罪した。それに男は「いや、構わないけど…」と含みのある返しをしてくる。当然だ。
なんせ男は馬鹿でかい画面に向かって筆を構えていて、存在に気付かなかったというにしては見慣れない光景として大きく教室に違和感を与えている。普通科の人間は、明らかに区別されている芸術科の活動は見慣れていない。だから今目の前の光景も特異なのだ。気づかないというにはいささか不可解すぎた。
「だいぶ、イライラしていたようで。」
男は少し落ち着いた俺の感情を知ってか知らずか少しの間を持って話しかけてきた。
「お前の存在でだいぶ凪いだ。」と端的に返す。嘘ではない。グリーンは無関係の人間にまでイラつきをまき散らす趣味はないため無意識にしろスイッチは切りかわる。
少しの申し訳なさもあり、完全に絵画から意識が自身に切り替わった男の会話相手になるべく近寄った。そしてこっそり男の描いてる絵画を盗み見た。
「…抽象画?」
思わずこぼした言葉に男は苦笑し、「具象画になる予定。」と笑顔で返してきた。まだ下書き段階らしい。重い色が全体においてある。
「へえ。邪魔して悪かったな、出てくから。」
普通科の人間であるグリーンからすれば、絵はとても新鮮で気になりはするが、男の作業を妨害してしまっている。大人しく引き下がろうとしたところ、男は「別にいいよ。よかったら残ってほしいくらいかな。今暇?」と返してきた。奇特な男だ。
邪魔したのは明らかなのに、残って欲しいと言う。奇特とは思いながらも邪魔でないのならと、グリーンは居座ることにし適当な椅子を引いた。いまさら新たに教室を探すのも面倒だった。それで意をくんだらしい男は視線を絵画に戻す。
「先ほどの理由はきいても?」
と視線も寄越さずに再び筆を動かしだした男は口を開いた。
「対した理由じゃないけど。解決する気のない会議に疲れただけ。」
筆を静かに動かす男の挙動を眺めながら言った。すると男はおかしそうに笑う。
「俺もだよ、アトリエ教室はお喋りがかしましい。」
脱力したように喋った男はそれ以上はほとんどしゃべらず静かに筆を動かし、俺も黙って眺めていた。
あたりも暗くなり、教室の電灯をつけた男は、なおも書き続けていた。自然光で見ていたときと、蛍光灯の明かりとではだいぶ印象が違う。はたしてこんな環境でいつも芸術科の人間は絵を描き続けていて不便ではないのだろうか。絵は今ではだいぶ書き進められ、書きたいものが何かはわかる程度になっていた。
「もう今日は終わりか…」
ぼうっと眺めていると男は呟いた。視線を男から、男の視線の先へと動かすと7時半を示している時計が目に入った。道理であたりは暗いわけだ。
最後にもう一度「悪かったな」と謝罪し席を立つ。「結構居心地良かったよ。」と笑いかける男は気難しい顔をして案外懐が広い。
「グリーンさん。」
教室を出て行こうと扉に手をかけると背後で道具の片づけをしていた男が声をかけてきた。振り向けば「良かったらまた来てよ。」と笑顔で言われる。
「俺自己紹介してないけど。」言葉には答えずに、疑問をそのままつげれば「君の事知らない人間の方が少ないだろうね」と返された。
「俺、名乗らない奴と行動一緒にすることないから。今回は特例。」
言えばおかしかったのか男は噴出して笑い、失敬と心にも思ってない言葉を幾度か繰り返してから漸く名乗った。
「俺の名前はヤスタカ。芸術科の三年、油絵を専攻してます。良かったらいつでも教室にだって遊びに来てください。」
12/27 23:08 軍人グリーンボツネタ
下記に書いたボツネタです。軍パロ。本来なら酷い目に遭わせたい同盟に上がるはずだったもの・THE貧乏性。日記にあげるには些か長い。色々おかしいのも直してない
銃口が頭に向けられる。
向けられた本人は今にも泣き喚いてしまいそうな実に情けない顔をしていた。
恐らく、血も涙もない鉄仮面が、自分達の命と上司である己の命を秤にかけたすえに見棄てられる、そう思っているのだろう。事実、秤にかけてしまえばこの軍の中では五万と居る中の30余りの命よりも、大佐であり、大隊長である己の価値の方が戦争内での価値は大いにある。お釣りだってくるくらいだろう。
しかし、残念ながら自分は血も涙もある
ただの人間だった。
「なんだここは。」
通された部屋は女性の為の部屋だった。
天蓋のついたベッドに、ロココの女性的な曲線が特徴のクローゼットやチェスト。先程から、身の毛の弥立つような丁重な扱いで、捕虜に対する扱いではなかった。
「どこだも何も、あなたにあてがわれた部屋です。」
軍部での己の価値を差し引いても、グリーン自身の価値が高いことは本人も理解していた。
最初は、その為の丁重さだろうと踏んでいたがどうにも違和感が拭えず、部屋の様式が決定打を与えてきた。
こいつらは、俺を女扱いしている。
状況を理解し睨み付けるも、部屋へ通した男はニヤニヤと卑しい笑みを浮かべてさっさと扉を閉めてしまった。数瞬起き、鍵を確認するが開くわけもない。見渡す限りはこの悪趣味な部屋には出入口のひとつしかないようなので、逃亡をはかるにしても隠し通路でもない限り難しいだろう。
戦況が気掛かりだった。要求を呑んだ後は目隠しと猿轡をつけられ連れ出されたため解らないままだ。ただ、こちらからの条件通り、即時撤退はされたためあの場での更なる被害はなかったはずだ。
部下達に期待するしかない。軟弱に育てたつもりはなかったが。ただ、人質となったものたちの戦意喪失は明らかで、芳しい成果は恐らくあがっていない。
臆測でしかない現状を空想したところで意味はない。長く戦場での生活だったため、今は女物のベッドだろうとなんだろうと構わなかった。柔らかい感触に身を預け、休息のため意識を手放した。
ーーーー
レッドは、現状に目眩を覚えた。
防衛戦だった筈が、劇的な勝ち方をし戦争という呼び名を免罪符に軍は敵国に侵攻した。それは別に構わなかった。グリーンがいる支部にレッドは召集されたからだ。久々に旧友と会えるのだ。楽しみで仕方がなかった。しかし、支部にグリーンの姿はなく、確認すると何ヵ月も前に除籍となっていた。おかしいと思っていた。グリーンがいながらここの戦況は一進一退もなく平行線を辿っていたから。
その代わりに、今度はグリーンの除籍が不可解だった。
相手の軍人による挑発でレッドは事実を知ることとなる。
「おまえらみんなバカだよなぁっ!上官も!部下も!」
止めを刺そうとサーベルを構えた手を止める。
「部下のために命を擲つ上官なんざ持ちたくねぇよ俺なら!ははっ、あんな有能な奴も終いにゃ殺せって懇願するしよぉ!部下も右往左往して滑稽だ!!」
身動き出来ないほど痛め付けていたのは理解していたが万が一にも逃げ出さないかと確認しながら、サーベルを納めた。そして握った拳を振りかぶる。
骨のぶつかる音がした。
勢いで吹き飛んだ男は死を覚悟していたのにも関わらず殴り飛ばされたことが理解できてないようで動きが散漫だった。構わず理解できていない男に馬乗りし更に一発殴り付ける。嫌な音がして男は口から血をこぼした。ああ、歯が折れている。通りで。なんとまあ敵にあほっ面を晒すものだ。
「それってさあ、この軍を罵ってるんだよね?その擲った上官って誰だ。言えば生かして返してやる。」
唖然とする男をもう一発殴り付ける。咳き込む男にもう一発。暫く様子を見て、呼吸も苦しげと言った風の男にもう一度拳を振り上げた。別に俺はお前の息も絶え絶えアピールを見たくて生かしてる訳じゃない。
「わがっ…、い゛う…言゛うから゛っ…!」
殴りかけた拳を下げる。血塗れで滑稽な面した男の呼吸が整うのをまつ。
「オーキド・グリーン大佐、オーキド軍支部大隊長だ…!小隊を人質にしたら、自分の身柄との交換要求に応じやがったんだ…!」
「で?」
「お前、何も知らないんだな…!!
オーキド博士を大佐を人質に召喚してやった…!ついでに金も要求したさ!これで武器を大量に入手してやった終わりだお前ら!」
「グリーンは?その後どうした?」
「お前らにもう返してるよ…!ははっ、女扱いされてキチガッタ大隊長に大枚はたいてご愁傷さまだな」
「へぇ…」
恐らく、用済みだと思っている男は壊れたみたいに笑っている。殺されると思っているんだろう。まだ用済みだとは言ってないし、俺は約束を守るつもりなんだけどな。立ち上がり男を引き摺る。男は抵抗するが微々たるものだった。
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「ほら、どの小隊だ。お前解るんだろ。」
男を支部司令部に連れていき、床に放り出す。突然、レッドがボロッ切れになった敵軍の男を連れてきたため、支部に在中してた男達も目を剥いた。
「その捕虜だったグリーンは、3ヶ月前に軍から除籍されてるんだよなぁ…?」
よく響く声で、知らしめるように大声で言えば連れてきた男の他に、自軍の人間でも顔を青ざめさせた奴がいる。数人ではない。二桁はいく。その内数人と目が合い、口元だけで笑ってやった。青ざめた顔が更に青くなる。表情もひきつった。
レッドが、どのような人間か知っていて奴等は青ざめた。そして、
レッド自身、他人からの印象を理解した上での行動である。
「全員動くな。許可なしに動いた奴は、撃つ。」
凡そ、戦争中に味方に使うわけがないような言葉を発する。通常なら過ぎたハッタリは効果の無いものだが、レッドの場合違った。本当に発砲しかねない緊張感に周囲が包まれた。
「いくら大佐殿でも、過ぎた行動は処罰の対象ですぞ。」
果敢にも、老獪な男が両手を挙げた様子で進言する。対するレッドはきょとんとした様子で聞き、対峙した。
「じゃあさ、丁度良いや。どの小隊?グリーンが庇ったの。ああ、今のグリーンの居所でも良いよ。」
「…存じません。」
真っ直ぐな瞳で老人はレッドの透き通った瞳を睨み返した。
「おい。」
レッドの背後にいた、敵軍の男に威圧する声で呼び掛けた。しかし、詰まらなさそうに男は「そんなじいさん知らないな。」と言う。