!!

「あー…えーっと?…うーん。」

グリーンは唸っていた。当然だ。
たった今、この瞬間、なうに、幼馴染みに告白されたからだ。
グリーンだって幼馴染みが恋愛シュミレーションゲームのごとき可愛さを持つギャルであれば大歓迎であった。
しかし、グリーンの幼馴染みは男である。可愛さすらない。

いつものように遊ぶ約束をして、いつものようにやって来たかと思えば、部屋に招き入れた途端「グリーンが好きだ。ラブだ。付き合え。」なんて言い放ちやがったが為にゲームにも入れず、レッドの真正面で唸る羽目となっている。

なんというか、

目の前の幼馴染みをみやる。若干イライラしているようにも見える表情は緊張している顔だ。どうやら、厚顔無恥なレッドでも同性の幼馴染みに告白するのは緊張するらしい。
ならなんでコクりやがった。
そう思うと知らぬ間に息を詰めていたらしい、存外深くため息が出た。
レッドはなんだよと今度こそムッとした表情をするので、無視して天井を仰ぐ。ああ、白い。蛍光灯が僅かに明滅してる、今度替えを用意しておかないと。

「なんていうか…」

もう一度チラリとレッドを見て溜め息。今度はあからさまにレッドが嫌な顔をする。

何が嫌って…
男の幼馴染みがコクってきたのに、気持ちわるがらない俺がだよ。

頭をボリボリと掻く。レッドの舌打ちが音に紛れた。おま、仮にも好きな奴に対してするかよ普通。

「迷うなよ。フツーはいかイエスだろ。」

「異性の間ではな?」

到底理解できないという表情をされるが、俺が言っていることの方が至極真っ当な筈だ。不当な扱いを受けている。
うんうん考え込んでいると腕を掴まれた。思い切り体が振られ、それはもう、物凄い勢いでベッドにダイブした。ダイブというより「たたきつける」だ。

「百聞は一見にしかず」

「は?」

「解らないなら、実地だ。」

「は?」

何を言ってるんだコイツは。
いや、何を言いたいかは解る。解るために冷静に考えつつも問答無用で襲いかかってくる幼馴染みを必死に迎撃してるわけだが、体勢やらなんやら諸々の理由で劣勢に陥っている。
負けるまいとグリーンは応戦するも、限界と言うものは存在する。肩を押さえ付けられ、怯んだ隙に胸ぐらをつかまれたときはもう全てを悟っていた。

列帛の悲鳴をあげ服は最期を迎えた。
目の前の男が勝ち誇った笑みを浮かべる。腹に馬乗りになられてしまった今では最早対抗も対抗と呼べるものではない。明らかに優劣が発生している。
胸を蛍光灯の下に無理矢理晒された屈辱に歯を食い縛る。

「グリーンって絹肌ってやつだね。」

幼馴染みは、胸をガン見したままそっと撫でる。嫌だ、気持ち悪い。なんなのコイツあからさまに胸見てるコイツも気持ち悪いし、そういう目で見てますよと伝えてくる手の動きも気持ち悪い。もう幼馴染みに性的対象に見られてたって充分気持ち悪いのに。

「ああああああああっもう!舐めるな!なめるなっ!!!!」

ゾワゾワと背筋を伝わって嫌悪を感じる。ヤバい俺の幼馴染み変態だった。幼馴染み♂の胸舐めて息荒くしてる怖い。

「ねぇ!レッドよそう?怖い!お前怖いから!」

「大丈夫、すぐにヨくなるから。」

「エロゲみたいな事いってんじゃねーよ!」

こういうときだけ爽やかな笑顔向けんなよ!言ってることがキモいからミスマッチどころかデスマッチな発言になってんだよ!!!!通報するぞ!

「エロ同人みたいに!じゃねーのかよ。」

レッドの世迷い言に「んなフラグたてっかよ。」と冷静には突っ込んだものの、今は気持ち悪い手を止めてからは取っ組み合いが発生しておりとっても穏やかではない。本当、力業って穏やかじゃない。レイプかよ。
うん?レイプ?

「あれ!?お前もしかして実地ってCまで!?は?俺犯されそう!?」

「今更だな!?」

レッドがビックリしたように返してくるが、ビックリなのはこっちだよ。なんで幼馴染み襲おうと思うの?

「エロ同人かよ!」

ツッコミを入れるが、とうとう現実味が帯び危機感も高まったときにあまり余裕はない。大体体勢的な劣勢は続いたままだ。上に跨がってる奴が優勢になるに決まってる。
というか、ヤバい。もうほぼ瀕死。バトルで言うと、フルバトル5タテされて一匹すら倒せずに最後の手持ちの体力がレッドラインに突入したとき位にヤバい。

「!!」

はい、きたー。俺のファーストキッスにサヨナラバイビー。レッドに奪われたー。
流石に現実逃避に入る。だってまさかファーストキスを幼馴染み(男)に奪われると思うか?いや、無いね。
最悪だ。
考えれば考えるほど最悪だった。



「もっ、バカぁーーーーーーーッ!!!!」

極力暴力に走りたくはなかったが、これはもう已む無し。已む無しというか、俺には資格が有ると思う。
横っ腹に拳を叩き込み、横へ落下させたあとに、体を捻れるだけ捻って思いっきりレッドにグーパンをかましてやった。

返事なんて答えを出しても聞かれても暫く見送ってやる!!!!






































「レッドのあほんだら!責任とりやがれ!」

「!!」





2013/11/15 clap500完
拍手五百回ありがとうございました!!!!
まあ今700も超えちゃったんですけどね…遅くなりました。



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