2012/02/14 01:46

もう一人にしないでくれよ
俺から意思は剥ぎ取るから

俺の感情が邪魔なら亡くすから
一人にすんなよ

俺はお前のおもちゃでもいいから
命が邪魔なら冷たい人形になるから

その鈍器で殴って俺の形を変えてくれ
お前がいるって証明をくれよ

俺を一人にしないで


02/18 19:35

単身、一人旅で入った都会という空間の喧騒
君は嫌そうな顔をしていた

君とのバトルで体力を使い果たして
いつも機会をうかがってた
やっと手に入れた、だから
手離す訳ないでしょ?


「作戦は計画通り大成功!」
頭の中は劇的展開に拍手喝采
満足してちょっと我にかえった。

僕は何をしてる?

思い返しては、後悔して感情を否定した
ああ、正しい。正しいさ!間違ってなんかない!!
だってこれからは味気も色もない暮らしにサヨナラして
君と共に在れるんだから!

後悔の仕方が解らなくなったんだ
ずっと同じ道を廻ってる
グリーンがいる生活に満足してるさ。
その時誰かが嘲笑いながら呟いた、

「ソレはどうだか。」



今日は特についてなくて、なんかもう言葉に出来ないくらい
僕の心情は傷つききっていて、簡単にいっちゃえばゲームオーバー?
だって、最強だったはずの僕が年下に負けちゃったんだもん
そりゃグリーンに「どうしたんだよ?」って聞かれるよね

もう、強くなる気なんかないよ
だって悪は滅びないし
頂点にたったところでまた抜かれる。
追いかけたところでおいてかれる。
先で君は笑いながら置いていく

作戦は全て成功した!
けど、心は喪失感でいっぱいでさ、
ちょっとやり直そうかななんて思ったり
やっとの思いでグリーンを手に入れたのにね!

「グリーン、なんでご機嫌斜めなの?」

ずっと不機嫌そうにされると段々僕も不安になってさ、
君が消えるんじゃないか
また置いてかれるんじゃないか

そんな悪夢に魘される

もう取り返しなんてつかないよ

グリーンってなんになりたかったの?それ、僕もなりたい。

「もう無い。」

え?僕が奪った?冗談キツいや

何を世界はハッピーだっていうの?それのどこがだよ。
僕はこんなに疲れているのにな
どうしてこれが、これがハッピー?
終わりも見えない循環なんてもう投げ出して
ぐらりぐらり崩れそう
グリーンがいるだけで目が眩む


ああ、これが世間のいうハッピーね、
これを繰り返してるのにそれをまだ君はラッキーだっていうの?
僕の努力って報われないなあ

つまり

つまり

意味は無いよ!


そうだね もう終わりにしよう
飛び降りた後の世界はきっと僕が大人の世界


02/19 23:32

雑誌やテレビで見るあの人はいつも輝いていた。

色んな肩書きを背負ってるのに、プレッシャーなど感じないのか自信に溢れた瞳が揺るぐことはない

その瞳に憧れて、彼に近づきたいと思った。
そうして今まで頑張ってきて、昨日遂にアポを取り付けた。
電話越しの彼の声はやはりテレビできく声と同じでかっこよかったし、生き生きとしていた。
高鳴る心臓を押さえつけ、扉を押した。
開けると同時、しまった第一声になんて言うか考えてなかった。なんて、考えるだけ無駄だったらしい。

いない、

確かに彼はジムで待っていると言ってくれた筈だ。なにか用事か、忘れられているのか…
どちらにせよ今の俺にいない理由なんて解らないから待つしかない。一応時間ピッタリだったし、少し待てば来るだろう。きっと。
ああ、緊張のせいかトイレ行きたくなってきた。借りよう。

バトルコートのすみにある通路の向こう、思いの外清潔感のあるトイレを見つける。もっと公衆トイレの典型的な物を想像していたから綺麗さに心が躍る。
高いテンションのまま個室が見えるところまで来て、固まった。

「ぉえっ…ゲホッ、っはぁ、はぁ……うっ」

繰り返される嘔吐は便座の前に座り込んでる人がしていて、息も絶え絶えとしているのに吐瀉物は彼の口から断続的に溢れ出るばかり。
その後ろ姿に見覚えがあった。その弱々しさに見覚えはなかった。
自分の知っている彼はあんな細い呼吸を繰り返すような人ではなくて、いつも太陽のように眩しいくらいの笑顔の人だった。

すぐに悟った。

彼は、見栄っ張りなんだ、そして頑張り屋さんなんだと。

俺より、年下の、ジムリーダーの、元チャンピオンの、偉大な博士の孫の、グリーンさんは、背負いきれない期待を背負って今まで生きてきたんだと理解するのと、次の願望を認識するのはほぼ同時で。

気付けば声をかけていた。

「グリーンさん、」

ビクリと揺れる肩、固まったグリーンさんに気にせず言葉を続ける。

「俺、挑戦はやめて、ここのトレーナーを志願します。」




支えてやりたい背中


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